今日もシンガポールまみれ

日本のあっち、シンガポールのこっち

ワクチン接種をせずにシンガポールに入国する方法

うにうに @ シンガポールウォッチャーです。
この日が来ることは一部では想定されていましたが、ついにシンガポールが、日本からの外国人入国をワクチン接種者に限定しました。
様々な理由でワクチンを接種していない人がいます。その方々を含め、どうやってシンガポールに入国できるかについての記事です。

最重要資料は労働省MOMの下記ページです。在シンガポール日本大使館が全訳を書いています。これ以外の資料を参照する際には、随時記載します。
・シンガポール労働省 (MOM): Resuming Entry Approvals For Vaccinated Work Pass Holders And Their Dependants
・在シンガポール日本大使館: 新型コロナウイルスの発生に関する注意喚起(その59)

ワクチン接種者の入国方法

シンガポールへの入国で最も簡単なのは、日本でワクチンを接種して完全接種になってからシンガポールに渡航することです。
シンガポールでは2回目接種から、更に2週間たってはじめて、完全接種とみなされます。シンガポール行きの飛行機に搭乗できるのも、完全接種者のみです。例えば、9月1日に2回目を接種すれば、完全接種として入国できるのは9月15日からです。完全接種でなければ、チェックイン時に搭乗拒否されます。

手続きには、2つ必要になります。

  1. 厚生労働省が発行するワクチン接種証明
  2. シンガポール入国後、2週間の隔離終了後、2週間以内に指定病院で血清検査(抗体検査)をうける。陽性であれば、ワクチン接種証明の内容が、シンガポールの国家免疫登録 (NIR: National Immunisation Registry) に登録される。

シンガポール政府認定ワクチン

日本で接種可能なのはファイザーとモデルナです。どちらもシンガポールが入国者に認めています。シンガポールではこれに加えて、WHOの緊急使用リストに登録のワクチンも認めています。現段階では下記が対象です。

  • モデルナ
  • ファイザー
  • アストラゼネカ
  • Sinovac
  • Sinopharm
  • ジョンソン&ジョンソン (Janssen-Cilag)
  • Serum Institute (インド)

・WHO: Coronavirus Disease (COVID-19)

完全接種になっていない人

完全接種になっていない人がいると思います。接種が1度だけ、2度接種をしたが2度目の接種から2週間経っていない人です。
シンガポール政府は「完全接種になってからでないと飛行機に搭乗させない」「入国させない」と明言しています。接種を完了させるしかないです。
また、以前に感染した人もワクチン完全接種が必要です。

子どもの扱い

12歳未満は接種不要です。シンガポール国内でも12歳未満の接種できません。
12歳以上18歳未満は、接種証明が不要です。これは一部の国で、この年令へのCovid-19ワクチン接種を認めていないから想定されます。未接種であれば、1回目の接種をシンガポール到着の1ヶ月以内に受けること、2回目の接種を1回目の接種から1ヶ月以内に受けることが必要になります。12歳以上18歳未満には、シンガポールでは現在ファイザーのみが接種可能です。

ワクチンパスポート

日本で接種した人のワクチン接種証明は、日本の厚生労働省から入手します。
・厚生労働省: 海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について

抗体検査

シンガポールでは隔離は2週間です。隔離終了後、2週間以内にシンガポール政府の指定病院で血清検査(抗体検査)をうける必要があります。ここで陽性であれば、晴れてシンガポールの国家免疫登録 (NIR: National Immunisation Registry)に登録されます。つまり、ワクチン接種証明を偽造しても、抗体検査で陽性がでないので、バレます。抗体検査を受けなければ、ビザが停止か破棄されるのは、労働省MOMは明言しています。偽造したのではなくても、陽性がでなければ、入国から3ヶ月以内に再度接種し、完全接種になる義務があります。接種しなければ、就労ビザが停止か失効となります
NIRへの登録で、店内飲食などの集団行動が解禁されます。

外食など集団行動には接種証明が必須

シンガポールではマスクを外すなどハイリスクとされる活動は、ワクチン完全接種者のみが行なえます。事業者は、ワクチン接種を確認することが求められ、違反すると罰金・営業停止になるため、必須です。対象となる活動は下記などです。

  • 集団行動人数制限が5人まで。(接種が完了していない者は2人まで)
  • 飲食店での店内飲食。 (接種が完了していない者ができる外食はホーカー)
  • パーソナルケアサービス。 (エステなど)
  • ジム/フィットネススタジオといった、屋内での激しいマスク未着用運動
  • 大規模な宗教礼拝

・シンガポール保健省 (MOH): Preparing for Our Transition Towards Covid Resilience
・在シンガポール日本大使館: 新型コロナウイルスの発生に関する注意喚起(その58)

接種証明には、携帯アプリ

  • TraceTogether
  • HealthHub

のどちらかを使うのが一般的です。スーパーやオフィス等への立ち入りにはTraceTogetherでのチェックインが求められるため、TraceTogetherの普及が高いです。TraceTogetherは携帯のBluetoothを使うため、充電池のモチを気にする人は、TraceTogetherのハードウェアトークンを受け取って使っており、その際にはHealthHubになります。

ワクチン未接種者の入国方法

さて、ここからはワクチン未接種者がどう入国するかです。

永住権を取得

国民と永住者はワクチン接種証明が義務ではありません。大半の人にはシンガポールへの永住権(PR)獲得は居住実績がなければ無理ですが、富裕層にはGIPという投資プログラムで永住権PR取得が可能です。シンガポールに2億円投資が可能な方が、対象になります。
uniunichan.hatenablog.com

学生ビザでの入国

学生ビザ(Student Pass)での入国に、ワクチン接種証明は不要です。語学学校などに勉強のために在籍し、学生ビザで入国。入国後に、EP/Sパスといった就労ビザや被扶養者ビザDPに切り替えることもビザの制度上できます。
問題は、語学学校の入国許可優先順位は最も低いことです。シンガポール国立大学など地元校であれば、優先順位があがりますが、語学学校では運任せです。入国許可が降りるのがいつかは、まったく目処がたちません。「1年ぐらい時間の猶予があってその間に入国できればよい」という人しか、使えません。
・SafeTravel: Student's Pass Holder Lane

国民/永住者の親族

シンガポール国民と永住者に親族がいる人などは、Familial Ties Laneの対象です。この入国方法では、接種証明は求められていません。
・Safe Travel: Travel And Health Control Measures

低汚染国で迂回滞在してから入国

シンガポールへの入国にワクチンパスポートが必要な外国人は、全ての国からではありません。高リスク国からの入国が対象です。世界中でたった6カ国が、高リスク国から外れています。
ブルネイ、香港、マカオ、中国、ニュージーランド、台湾です。
これらの国で21日滞在した後であれば、シンガポール入国に接種証明は不要です。
問題なのは、これら6カ国への入国は、シンガポール入国より難しく、国民でもなければ入国不可能なことです。これらの国との重国籍者は検討してみて下さい。

逆に、感染が蔓延している国からは、渡航の申請事態ができません。現在は、バングラデシュ・インド・ミャンマー・ネパール・パキスタン・スリランカが、入国禁止国です。
・Safe Travel: Travelling to Singapore

建設/海洋造船/プロセス(化学)産業で就労ビザS Passを取得

就労ビザでの外国人入国は、全員がワクチンパスポート必須ではありません。建設/海洋造船/プロセス(化学)産業でのS PassとWork Permit (WP) という就労ビザ所持者は対象外です。S Passは月給S$2,500(20万円)からのミドルレンジの就労ビザで、WPは最低賃金が設定されていない単純労働者向け就労ビザです。
除外されているのは、「該当産業での個別イニシアチブがあると」いう説明を政府はしていますが、このビザを利用する外国人の多くがインド・バングラデシュ等の出身で、母国でのワクチン接種が困難だからだと想定されます。
WPは国籍制限があり、日本人は取得できません。一方、S Passは日本人も取得可能です。
勤務先がこの産業であり、S Passであれば、接種証明なしに入国できます。大半の駐在員が持つEmployment Pass (EP) は接種証明が必要です。また、被扶養者ビザDPも接種証明が必要です。
つまり、永住権PR取得や迂回入国よりかはチャンスがありますが、利用可能な人は極わずかです。

医療理由での接種不可

この記事を読んでいる人が期待しているのはこの項目、「医療理由での接種不可」だと思います。
結論から言うと、適応可能な人はほとんどいません。医療理由での接種不可の申請のページはこちらです。訳します。

利用説明
このフォームは、企業がスポンサーになるパス所持者 (就労パス所持者や被扶養者) が、Covid-19ワクチン要求からの免除を申請するためのものです。

以下の条件を満たすパス所持者のためにのみ、申請を提出して下さい。

  • 入国時に18歳以上
  • 医療理由でワクチン接種ができず、以下の全てを満たす医師の診断書で証明されていること
    • パス所持者の医療状態を述べろ
    • ワクチンのブランドにかかわらず、Covid-19ワクチンを接種できない理由を述べろ
    • 明確であり、手書きでないこと
    • (診断書が英語でない場合のみ) 翻訳提供会社からの英語翻訳コピーを添付

注意:

  • この申請登録に、診断書のアップロードが必要になる。複数の文書では、1つのファイルにまとめ、ファイルサイズは7MBまで。
  • 入国時に18歳未満であるパス所持者は申請をしないこと。その人達は、シンガポール入国までは、ワクチン接種の必要を既に免除されている。

申請結果は3週間以内にメールする。
・シンガポール労働省 (MOM): MOM - Request to be exempted from COVID-19 vaccination requirement

何が「医療理由でのワクチン接種不可」かは、国とワクチンブランドによって異なります。シンガポールでは、妊婦、授乳中の人、アトピー、アレルギーの人を含め、下記の人もワクチンを接種できます。これらの理由で免除を申請しても、「居住国で接種できなければ、シンガポール入国後に接種すること」という条件での入国許可になるでしょう。

  • 妊婦、授乳中の人
  • 慢性疾患 (例: 糖尿病、高コレステロール、高血圧)
  • 喘息、湿疹/アトピー性皮膚炎
  • G6PD Deficiency (グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症)
  • 漢方薬を飲んでいる人
  • 腎臓透析
  • 他のワクチンを接種している人
  • がん治療を現在受けている人 (例: 化学療法、免疫療法、放射線治療)
  • 血液抗凝固剤を日常的に接種している、安定した出血がある、抗凝血性の病気
  • 瘢痕の既往歴
  • アナフィラキシー、薬・食べ物・虫刺されでのアレルギー
https://www.moh.gov.sg/covid-19/vaccination

・シンガポール保健省: Can I Get Vaccinated?

シンガポールで認められている接種できない医療理由はわずかに5つです。

  • 免疫系が非常に弱い (例: 最近、臓器移植を受けた。あるいは、HIV CD4が200未満)
  • 血小板の数が5万未満
  • mRNA以外のワクチンでアレルギーが出たことがある人
  • mRNA初回接種でアレルギーやアナフィラキシー反応がでた人
  • mRNA初回接種で心筋炎がでた人

・シンガポール保健省: Can I Get Vaccinated?

(2021年8月10日更新) 質問: mRNAのCovid-19ワクチンを接種すべきでない人は誰ですか?
答え: ファイザーでは12歳未満の子ども、モデルナでは18歳未満の子どもには推奨されていない。より多くの有効性と安全データが必要だ。
mRNA Covid-19ワクチンかその成分に対して、アレルギー反応かアナフィラキシーが出たことがある人は、mRNAワクチンを再度受けるべきではない。下記の3つの基準のうち2つ以上あれば、アナフィラキシーは命にかかわる。

a) じんましん、もしくは、顔/まぶた/唇/喉の腫れ
b) 呼吸困難
c) 目まい

他のワクチンにアレルギー反応やアナフィラキシーを起こした人は、Covid-19ワクチンに含まれるワクチンの成分でもアレルギーを起こすかもしれない。この人達は、mRNAのCovid-19ワクチンを接種できるかもしれないが、ワクチンへの適応を決めるために専門医の診断が必要である。ワクチンセンターでは、全額政府支援の専門医を紹介することができる。専門医が適応性を評価するまでは、この人達は、mRNAワクチンを接種すべきではない。
mRNAワクチンの初回接種で、心筋炎と診断された人も、再度ワクチンを接種すべきではない。
・シンガポール保健省 (MOH): FAQs - Safety and Efficacy of the COVID-19 Vaccine

質問: 深刻な免疫障害で、mRNAワクチンを接種すべきでないのは誰ですか?
答え: 深刻な免疫障害の例は下記だが、これ以外にもある。

  • 過去3ヶ月以内に移植を受けた人 (固形臓器か幹細胞)
  • がん以外の症状で、積極的な免疫療法 (例: Rituximab(リツキサン)) をうけた人

治療を担当した専門医がワクチン接種の診断書があれば、これらの患者もワクチン接種が可能である。
疑問があれば、Covid-19ワクチンへの適合性について患者は医師と議論することを促す。ワクチン接種前に、接種の適合性についてワクチンセンターで医療スタッフが個人を評価する。
・シンガポール保健省 (MOH): FAQs - Safety and Efficacy of the COVID-19 Vaccine

mRNA初回接種でアレルギー/アナフィラキシーが出た人には、Sinovac

移植や免疫療法での免疫機能低下は、一定時間後に回復します。回復後に接種することが入国条件となるか、回復後に接種してから渡航申請をするように言われると想定されます。

「mRNA以外のワクチンでアレルギーが出たことがある人」には、入国後に専門医の診察を受け、接種可否が判定されると想定されます。また、その判定は最終決定ではなく、対応可能なワクチンが利用可能になった際には、その接種が条件になると推定されます。たとえば、Novavaxが年末に利用可能になる予定です。

「mRNA初回接種でアレルギーやアナフィラキシー反応がでた人」には、シンガポール政府は入国後のSinovac接種を条件にすると想定されます。シンガポールでは7月上旬に、3,600人の「mRNA初回接種でアレルギーがでた」人がいました。シンガポール政府は、彼らに2度目のmRNA接種を禁じるとともに、「2度目の接種にはSinovac」を勧めました。国内向けに行ったのと同じ対応を、海外から渡航者にもするということです。
・ストレートタイムズ紙: Govt offering Sinovac Covid-19 vaccine to some of those allergic to mRNA jabs as part of study

ワクチンパスポートなしでの入国が認められる人はほとんどいない、たとえ入国が認められても入国後もワクチン接種が免除される人はほとんどいないと想定されます。

診断書のねつ造を考えている方へ

医師としてワクチン接種をすすめない自身の信条のために、事実とは異なる診断書を出す医師が世の中にはいます。今後、日本でも、患者や希望者のワクチン接種を避けるために、容態が異なっていても、シンガポール政府が認めている「医療理由」を診断書に書く医師が出てくることが想定されます。

止めましょう。絶対に止めましょう。リスクに見合いません。

シンガポールは、国外のワクチン接種証明を持っている人でも、抗体検査で抗体があることを確認する国です。海外の医師の診断書だけで、接種を免除する可能性は低いです。
医療理由での接種不可の証明を、入国後にすることが迫られることが想定されます。「政府指定医師への診察を条件に、ワクチン接種証明書無しに入国を許可する」ということです。また、入国後であっても、診察や検査、規定変更での接種、新ワクチン利用での接種を求められる可能性があります。

診断書をねつ造して、偽造がバレるとどうなるか。ご自身のビザが剥奪されて、悪質な際には刑務所送りとなり、その後は海外追放。ビザスポンサーのEPも剥奪され、勤務先は一定期間の新規外国人ビザ発給/更新停止になります。
診断書をねつ造する医師はごくわずかです。同じ信念を持つ人達の中でその医師は有名になり、シンガポールあてに複数回診断書を出すはずです。その中の1人が診断書捏造だと判明すると、その医師からの診断書を提出した人は、全員が再検査されます。
過去には、大学から偽学位を購入して就労ビザ申請に使った人は、偽学位の販売大学なのが判明すると、該当大学からのビザ申請者は全員が調査対象になりました。2人がそれぞれ1週間と4週間の刑務所送りになり、シンガポールでの就労を生涯禁止されました。また23人が捜査中です。

たとえワクチン非接種で入国し、その後も接種を免除され続けても、外食禁止など、日常生活での不便は続きます。また、現在は、公共交通機関やスーパーの利用は非接種者に許されていますが、今より規制が厳しくなる可能性もあります。
勤務先には「家庭の事情でシンガポールには渡航して就労できません」と正直に話し、渡航を断念するか、ワクチン接種義務が解除されるのを待ちましょう。それでも、国外退去命令をくらい、勤務先に迷惑をかけるより、ずっとマシです。政府系のストレートタイムズ紙は、国内対応で非接種者が冷遇されることへの解除は12ヶ月~18ヶ月ではないかと予想しています。海外対応が緩和されるのはいつかは分かりません。


・ストレートタイムズ紙: askST: If I am not vaccinated but have tested negative for Covid-19, can I eat in a restaurant?

これまでの新型コロナウイルス記事

時系列
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「健康な人にはマスクは効果がない」がシンガポール政府の立場でしたが、発症前に感染させた人が確認され、再利用可能マスクが配布。現在は、外出時のマスク着用が必須に。
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