低汚染国で迂回滞在してから入国
シンガポールへの入国にワクチンパスポートが必要な外国人は、全ての国からではありません。高リスク国からの入国が対象です。世界中でたった6カ国が、高リスク国から外れています。
ブルネイ、香港、マカオ、中国、ニュージーランド、台湾です。
これらの国で21日滞在した後であれば、シンガポール入国に接種証明は不要です。
問題なのは、これら6カ国への入国は、シンガポール入国より難しく、国民でもなければ入国不可能なことです。これらの国との重国籍者は検討してみて下さい。
逆に、感染が蔓延している国からは、渡航の申請事態ができません。現在は、バングラデシュ・インド・ミャンマー・ネパール・パキスタン・スリランカが、入国禁止国です。
・Safe Travel: Travelling to Singapore
建設/海洋造船/プロセス(化学)産業で就労ビザS Passを取得
就労ビザでの外国人入国は、全員がワクチンパスポート必須ではありません。建設/海洋造船/プロセス(化学)産業でのS PassとWork Permit (WP) という就労ビザ所持者は対象外です。S Passは月給S$2,500(20万円)からのミドルレンジの就労ビザで、WPは最低賃金が設定されていない単純労働者向け就労ビザです。
除外されているのは、「該当産業での個別イニシアチブがあると」いう説明を政府はしていますが、このビザを利用する外国人の多くがインド・バングラデシュ等の出身で、母国でのワクチン接種が困難だからだと想定されます。
WPは国籍制限があり、日本人は取得できません。一方、S Passは日本人も取得可能です。
勤務先がこの産業であり、S Passであれば、接種証明なしに入国できます。大半の駐在員が持つEmployment Pass (EP) は接種証明が必要です。また、被扶養者ビザDPも接種証明が必要です。
つまり、永住権PR取得や迂回入国よりかはチャンスがありますが、利用可能な人は極わずかです。
医療理由での接種不可
この記事を読んでいる人が期待しているのはこの項目、「医療理由での接種不可」だと思います。
結論から言うと、適応可能な人はほとんどいません。医療理由での接種不可の申請のページはこちらです。訳します。
利用説明
このフォームは、企業がスポンサーになるパス所持者 (就労パス所持者や被扶養者) が、Covid-19ワクチン要求からの免除を申請するためのものです。
以下の条件を満たすパス所持者のためにのみ、申請を提出して下さい。
入国時に18歳以上
医療理由でワクチン接種ができず、以下の全てを満たす医師の診断書で証明されていること
パス所持者の医療状態を述べろ
ワクチンのブランドにかかわらず、Covid-19ワクチンを接種できない理由を述べろ
明確であり、手書きでないこと
(診断書が英語でない場合のみ) 翻訳提供会社からの英語翻訳コピーを添付
注意:
この申請登録に、診断書のアップロードが必要になる。複数の文書では、1つのファイルにまとめ、ファイルサイズは7MBまで。
入国時に18歳未満であるパス所持者は申請をしないこと。その人達は、シンガポール入国までは、ワクチン接種の必要を既に免除されている。
申請結果は3週間以内にメールする。
・シンガポール労働省 (MOM): MOM - Request to be exempted from COVID-19 vaccination requirement
何が「医療理由でのワクチン接種不可」かは、国とワクチンブランドによって異なります。シンガポールでは、妊婦、授乳中の人、アトピー、アレルギーの人を含め、下記の人もワクチンを接種できます。これらの理由で免除を申請しても、「居住国で接種できなければ、シンガポール入国後に接種すること」という条件での入国許可 になるでしょう。
妊婦、授乳中の人
慢性疾患 (例: 糖尿病、高コレステロール、高血圧)
喘息、湿疹/アトピー性皮膚炎
G6PD Deficiency (グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症)
漢方薬を飲んでいる人
腎臓透析
他のワクチンを接種している人
がん治療を現在受けている人 (例: 化学療法、免疫療法、放射線治療)
血液抗凝固剤を日常的に接種している、安定した出血がある、抗凝血性の病気
瘢痕の既往歴
アナフィラキシー、薬・食べ物・虫刺されでのアレルギー
https://www.moh.gov.sg/covid-19/vaccination ・シンガポール保健省: Can I Get Vaccinated?
シンガポールで認められている接種できない医療理由はわずかに5つ です。
免疫系が非常に弱い (例: 最近、臓器移植を受けた。あるいは、HIV CD4が200未満)
血小板の数が5万未満
mRNA以外のワクチンでアレルギーが出たことがある人
mRNA初回接種でアレルギーやアナフィラキシー反応がでた人
mRNA初回接種で心筋炎がでた人
・シンガポール保健省: Can I Get Vaccinated?
(2021年8月10日更新) 質問: mRNAのCovid-19ワクチンを接種すべきでない人は誰ですか?
答え: ファイザーでは12歳未満の子ども、モデルナでは18歳未満の子どもには推奨されていない。より多くの有効性と安全データが必要だ。
mRNA Covid-19ワクチンかその成分に対して、アレルギー反応かアナフィラキシーが出たことがある人は、mRNAワクチンを再度受けるべきではない。下記の3つの基準のうち2つ以上あれば、アナフィラキシーは命にかかわる。
a) じんましん、もしくは、顔/まぶた/唇/喉の腫れ
b) 呼吸困難
c) 目まい
他のワクチンにアレルギー反応やアナフィラキシーを起こした人は、Covid-19ワクチンに含まれるワクチンの成分でもアレルギーを起こすかもしれない。この人達は、mRNAのCovid-19ワクチンを接種できるかもしれないが、ワクチンへの適応を決めるために専門医の診断が必要である。ワクチンセンターでは、全額政府支援の専門医を紹介することができる。専門医が適応性を評価するまでは、この人達は、mRNAワクチンを接種すべきではない。
mRNAワクチンの初回接種で、心筋炎と診断された人も、再度ワクチンを接種すべきではない。
・シンガポール保健省 (MOH): FAQs - Safety and Efficacy of the COVID-19 Vaccine
質問: 深刻な免疫障害で、mRNAワクチンを接種すべきでないのは誰ですか?
答え: 深刻な免疫障害の例は下記だが、これ以外にもある。
過去3ヶ月以内に移植を受けた人 (固形臓器か幹細胞)
がん以外の症状で、積極的な免疫療法 (例: Rituximab(リツキサン)) をうけた人
治療を担当した専門医がワクチン接種の診断書があれば、これらの患者もワクチン接種が可能である。
疑問があれば、Covid-19ワクチンへの適合性について患者は医師と議論することを促す。ワクチン接種前に、接種の適合性についてワクチンセンターで医療スタッフが個人を評価する。
・シンガポール保健省 (MOH): FAQs - Safety and Efficacy of the COVID-19 Vaccine
mRNA初回接種でアレルギー/アナフィラキシーが出た人には、Sinovac
移植や免疫療法での免疫機能低下は、一定時間後に回復します。回復後に接種することが入国条件となるか、回復後に接種してから渡航申請をするように言われると想定されます。
「mRNA以外のワクチンでアレルギーが出たことがある人」には、入国後に専門医の診察を受け、接種可否が判定されると想定されます。また、その判定は最終決定ではなく、対応可能なワクチンが利用可能になった際には、その接種が条件になると推定されます。たとえば、Novavax が年末に利用可能になる予定です。
「mRNA初回接種でアレルギーやアナフィラキシー反応がでた人」には、シンガポール政府は入国後のSinovac接種を条件にすると想定されます。シンガポールでは7月上旬に、3,600人の「mRNA初回接種でアレルギーがでた」人がいました。シンガポール政府は、彼らに2度目のmRNA接種を禁じるとともに、「2度目の接種にはSinovac」を勧めました。国内向けに行ったのと同じ対応を、海外から渡航者にもするということです。
・ストレートタイムズ紙: Govt offering Sinovac Covid-19 vaccine to some of those allergic to mRNA jabs as part of study
ワクチンパスポートなしでの入国が認められる人はほとんどいない、たとえ入国が認められても入国後もワクチン接種が免除される人はほとんどいない と想定されます。
診断書のねつ造を考えている方へ
医師としてワクチン接種をすすめない自身の信条のために、事実とは異なる診断書を出す医師が世の中にはいます。今後、日本でも、患者や希望者のワクチン接種を避けるために、容態が異なっていても、シンガポール政府が認めている「医療理由」を診断書に書く医師が出てくることが想定されます。
止めましょう。絶対に止めましょう。リスクに見合いません。
シンガポールは、国外のワクチン接種証明を持っている人でも、抗体検査で抗体があることを確認する国 です。海外の医師の診断書だけで、接種を免除する可能性は低いです。
医療理由での接種不可の証明を、入国後にすることが迫られることが想定されます。「政府指定医師への診察を条件に、ワクチン接種証明書無しに入国を許可する」ということです。また、入国後であっても、診察や検査、規定変更での接種、新ワクチン利用での接種を求められる可能性があります。
診断書をねつ造して、偽造がバレるとどうなるか。ご自身のビザが剥奪されて、悪質な際には刑務所送りとなり、その後は海外追放。ビザスポンサーのEPも剥奪され、勤務先は一定期間の新規外国人ビザ発給/更新停止になります。
診断書をねつ造する医師はごくわずかです。同じ信念を持つ人達の中でその医師は有名になり、シンガポールあてに複数回診断書を出すはずです。その中の1人が診断書捏造だと判明すると、その医師からの診断書を提出した人は、全員が再検査されます。
過去には、大学から偽学位を購入して就労ビザ申請に使った人は、偽学位の販売大学なのが判明すると、該当大学からのビザ申請者は全員が調査対象になりました。2人がそれぞれ1週間と4週間の刑務所送りになり、シンガポールでの就労を生涯禁止されました。また23人が捜査中です。
たとえワクチン非接種で入国し、その後も接種を免除され続けても、外食禁止など、日常生活での不便は続きます 。また、現在は、公共交通機関やスーパーの利用は非接種者に許されていますが、今より規制が厳しくなる可能性もあります。
勤務先には「家庭の事情でシンガポールには渡航して就労できません」と正直に話し、渡航を断念するか、ワクチン接種義務が解除されるのを待ちましょう。それでも、国外退去命令をくらい、勤務先に迷惑をかけるより、ずっとマシです。政府系のストレートタイムズ紙は、国内対応で非接種者が冷遇されることへの解除は12ヶ月~18ヶ月ではないかと予想しています。海外対応が緩和されるのはいつかは分かりません。
・ストレートタイムズ紙:
askST: If I am not vaccinated but have tested negative for Covid-19, can I eat in a restaurant?