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今日もシンガポールまみれ

日本のあっち、シンガポールのこっち

"18禁ライブ"をシンガポールで開催したマドンナ Rebel Heart Tour

シンガポール時事

シンガポールのマドンナライブは"18禁"

1993年に開催不許可のマドンナ

2016年2月28日、マドンナがシンガポールで初めてのライブを開催しました。マドンナはシンガポールに因縁があります。1993年に「ザ・ガーリー・ショー」のワールドツアーをシンガポールでもする計画がありましたが、政府当局(Media Development Authority: MDA)の許可がおりず開催できませんでした。シンガポールでは一部の公演に政府当局の許可が必要です。「ひわいに近く、道徳と宗教の見地から好ましくないことが知られている」というのが当時の警察の見解です。

"18禁"で決着

当初予定されていたチケット販売日が延期されるなど、今回も開催が危ぶまれていました。最終的には"18禁" (R18) として、18歳以上のみが観客として入場できることで決着。18禁は公演で最も厳しい制限です。政府当局は声明で、なぜ18禁か、何をすると18禁を超えて開催不許可になるかを、具体的な楽曲を上げて示唆しています。

  • 「性的に思わせぶりな中身が含まれいてるため18禁となる」
  • 「ガイドラインに違反する宗教的に敏感な内容、たとえばホーリー・ウォーターようなものは、シンガポールでは演じられない」
  • 「公演主催者は許可条件に従う義務がある。公演は民族や宗教の感情を害するものであってはならず、18禁のガイドラインにとどまらなければならない」

主催者のLive Nationも「あからさまなひわいさ」であり「宗教の内容」は規制にそぐわないことを認めています。

クレヨンしんちゃんも規制されるシンガポール

シンガポールではクレヨンしんちゃんにすら規制が入ります。しんちゃんがおしりを出しているため、PG13という「13歳以上の視聴には適しているが、13歳より下の子供には保護者の指導がアドバイスされる」レーティングを受けています。
uniunichan.hatenablog.com

民族・宗教が、シンガポールで最も厳しい言論の自由の制限対象

マドンナ公演では「性表現では18禁」「宗教を害すれば開催不許可」という、性表現より宗教に重きを置く判断を政府当局MDAはしています。
シンガポールは言論の自由への規制が厳しい国としても知られています。例えば、国境なき記者団が出している『2015年版世界報道自由ランキング』では、180ヶ国中153位となっています。その中でも、民族や宗教への言説は、言論の自由の制限対象として最も厳しく取り扱われます。民族対立を招きかねず、建国前後に国を分断する民族対立を経験しているためです。
今回のマドンナ公演に先立って、宗教サイドからの怒りの指摘が行われました。カトリック大司教が「宗教を侮辱する人を支援しない道徳的責任がある。信仰は芸術より優先」と、マドンナのライブに懸念を表明しています。政府は「(18禁ライブで)宗教に繊細な箇所は変更」ととりなしています。

他の教会も、信者でない人に制約は課さないとしながらも「それでも神への道徳問題に真理を知らせる道徳的義務が教会にはある」と声明書を出すところもあらわれました。キリスト教全国協議会は政府当局と懸念を話しており、宗教を害さないとの約束を得ています。

シンガポール人は経済的にはリベラルに振る舞い、職場やプライベートでも宗教の話は積極的にしないことが多いのですが、保守的な層は確実にいます。そのため、宗教や民族における保守層を、同性愛への刑法をいまでも撤廃しない理由として、シンガポール政府はあげています。最近ではアダム・ランバートの年越ライブに抗議署名もおきています。これらは、日本人からは見えにくいシンガポールの側面の一つです。

言論の自由への制限は酷評されることはやむを得ないと思いますが、その一方で民族対立による暴動は建国直後の1969年を最後に起きておらず、民族融和に成功している国であることもまた評価されるべきです。

トリビア

シンガポール公演での幾つか小ネタを上げておきます。

  • チケットは最安が$108 (8,000円) ~ 最も高いのが$1288 (10万円) ※1月22日時点での発売状況

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※Singapore Sports Hubのチケット販売サイトから引用

  • マドンナ公演のシンガポールでのコストはS$1400万 (11億円)
  • プライベートジェットで到着したマドンナが、シンガポールで宿泊したホテルはセントーサ島にあるカペラ

ライブ実況

「シンガポールって国が小さいし、退屈だよね」という話があって、それ自体は否定しないのですがw、飲み食いやゴルフ、週末アジア旅行という定番に加えて、コンサート巡りも結構ありです。国が小さくてチケットが取りやすいのに、結構色んなアーチストが来てくれるからです。観客には良いのですが、客入りを見てると厳しいよな、という時は少なく無いです。日本人では安室奈美恵氏もシンガポールで公演キャンセルしたこともある難しい国です。その分、チケットも安くないのですが。というわけで、私も行ってきましたマドンナ。
地元のマスコミや記者が詳細な実況中継をツイッターでしているので、訳を付けます。曲の一部が聞けるものもありますので、どうぞ。

  • マドンナの集客は2万5千人。シンガポールでのこれまでの記録では、同じナショナルスタジアムで開催したOne Directionが3万3千人、1993年のマイケル・ジャクソンが2晩で8万人。もともと、ナショナルスタジアムは5万5千人という、国の規模にしてはかなり大きな箱で、シンガポール人口の1%が収容できます。客先の3階は全部クローズ、ステージ裏も当然クローズ、ステージ正面の奥もクローズされていました。当初の売り出しチケットの9割は埋まった様子だったので、興行的には大丈夫でしょう。

  • 台北・バンコク・東京の公演で、いずれも2時間遅刻して始まったことから、55分遅れて始まったシンガポールはラッキーという。ところが、逆にシンガポールでは55分遅れで済んだことから、本来の開演時間の90分遅れで到着した42歳の女性は「マドンナはほどほどに遅れることで知られているので、遅れた私たちはショーの半分を見そこねたわ!シンガポールでは違うルールがあるとは思うけど、見逃すは思わなかったわ」とシンガポール人らしいコメントをする人も。90分遅れると終電が危ない、とのみ込みだったので私はε-(´∀`*)ホッ

  • 宗教を害するとしてHoly Waterは演奏されず。

  • 他国と比べて合計で3曲(Iconic、Holy Water、Devil Pray)が、ライブのパート1から削除。標準の楽曲リストはこちら

  • 「服を脱ごうかな、嫌がられなければいいけど」 by マドンナ

  • 「男性より女性のほうが良く働くと何年も思ってきたわ」 by マドンナ

  • ライク・ア・ヴァージン

  • 開演して1時間経過しましたが、宗教への言説はなし。

  • ライブのパート2からの削除は無し

  • ラ・イスラ・ボニータ

  • 「Fワードを言っていい?」 by マドンナ

  • 「私が誰かをビッチって言う時は、その人を好きな時なのよ」 by マドンナ

  • マテリアル・ワールド

  • クレイジー・フォー・ユー。これは他国では入っていない楽曲です。前半で3曲カットされた埋め合わせでしょう。

  • 全館禁煙のナショナルスタジアムでタバコの火をつけるかように振る舞うマドンナ

  • 2時間の公演のアンコールをホリディで終了。他国ではホリディでは各地の国旗をまとってパフォーマンスをしていますが、台湾公演での中華民国国旗に中国人から批判をあびたことや、シンガポールでは国旗の扱いに規制があることから、国旗パフォーマンスはありませんでした。

  • 公演は物議をかもすようなこともなく終了。地元紙がとりあげた観客の感想としては、マテリアル・ワールドのアレンジバージョンなどを褒める意見と、批判的なものでは「マドンナの言葉遣いが汚すぎる」「80年代の悪女だったけど、今はトーンダウンさせないと」


※本ブログの記述は、筆者の調査・経験に基づきます。記述が正確、最新であることは保証しません。記載に起因する、いかなる結果にも筆者は責任を持ちません。記載内容への判断は自己責任でお願いいたします。

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