今日もシンガポールまみれ

日本のあっち、シンガポールのこっち

シンガポール インター校の進学実績: 米国カリフォルニア大学

アメスクとUWCの高校学費が年500万円になりました。うにうに @ シンガポールウォッチャーです。

2015年に「UWCに小中高と入れたら学費で4,400万円するよ。頑張ろう!」という記事を書きました。
uniunichan.hatenablog.com
そこから8年。(日本を除くw) 先進国の急激な学費インフレにシンガポールのインターナショナル校も巻き込まれ、しかも円安が猛威を振るっています。
今では、シンガポールアメリカンスクール(SAS)とUWCは、最も学費が高い高校だと1年500万円もするようになりました。日本の平均世帯所得とほぼ同額です。
SASだと、小学生がG5までで年$44,000、中学(G6-G8)が$47,000、高校(G9-G12)が$49,000です。他に諸経費もありますが、小学校から高校卒業まで通うと、ざっと$510,000(5,200万円)です。8年間で800万円上昇しています。日本の中間層の一般的な住宅より高額ですが、住宅はふつう世帯に一つですが、学費なので子どもの数に応じて正比例します。

高額なインター校は学費に見合うのか?

シンガポールのインター校は、高額な学費に見合った成果があるかどうかです。成果の予測は困難です。というのは、
「学校の進路開示が不十分」
なためです。無事に「SASやUWCなどのシンガポールのインター校に入学できた」としても、進学する目的に見合った成果を得られるかは、その方次第の賭けということです。成果には、「(日本国内でなら)英語コンプレックスをもたずに済む」という環境からくるふわっとしたものや、「クラスメイトの家庭環境に一定以上を期待する」という高額な学費からの足切り効果なら予測可能かもしれませんが、「卒業後はX大学ランクに進学」や「将来、米国の大学に進学して、米国で就労し、テック企業でプロダクトマネージャーになる」という具体的な希望に必ずしも直結しない、ということです。

SAS/UWCの進路開示は3年間延べでの大学名のみ

学校が修了後の成果を約束しないのは、教育産業での一般的なビジネス慣行としても、シンガポールのインター校は卒業生の進路開示すら不十分なのが問題です。
SASとUWCの開示内容は、卒業生過去3年間合計の入学大学名のみです。「エースの生徒が複数校合格で数のかさ上げ」でなく、入学校なのがまだ良心的ですが、どの大学に各年度で何人入学したかが不明であれば、参考にはなりません。
日本の偏差値輪切りでの進学先の選択は批判はされますが、入学基準は学力であり、卒業後も進路を決める最大要素は一般に学力です。卒業生進路から、「クラスメイトのX%が有名国公立に、Y%が有名私大に、Z%がそれ以外に」というのは、入学前に推測はできます。ところが、シンガポールのインター校での進路実績は、噂に頼るしか無いのです。卒業後の進路の推定に困難な前提で入学校を決めるしかありません。しかも、シンガポールのインター校は、入学要件に学業の縛りが強くないこともあり、生徒の進学先は同じ学校の卒業生でもマチマチです。

そういう心もとない現状ですが、カリキュラムがIBの学校は、学校平均スコアが分かります。以前はシンガポールでは、インター校は一部しか開示しなかったのですが、現在は多くが開示するようになっています。
スコアを超えて、IB選択科目での有利不利は受験生(や家族)で議論になりますが、スコアは進路の前提となります。

SAS: 進学大学。2020年~2022年

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UECSEA Dover: 2020年~2022年 進学大学
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UWC East: 2020年~2022年 進学大学

カリフォルニア大学の受験結果開示

送り元のインター校が進路開示に消極的でも、受け入れ先の一つの米国カリフォルニア大学では受験結果を開示しています。これにはシンガポールや日本などの海外校も含まれています。GPAも開示されています。
・カリフォルニア大学: 出身校別入学者選考
ここから、カリフォルニア大受験にどの学校がどの程度強いか、が推測できるようになりました。
(蛇足ですが、カリフォルニア大学という大学が単体で存在するわけではありません。カリフォルニア州にある10の大学から構成されている州立の大学群です。旗艦校は(日本人に有名なUCLAではなく)バークレーです。なので、"カリフォルニア大卒"と名乗る謎の経歴な人がいますが、UCのどの学校かまで聞かないと評価が全く異なるため、出身校の説明に不十分です。大学群というくくりは"ロンドン大"も同様で、どのカレッジかを含まないと経歴に不十分です)

カリフォルニア大学郡UC、バークレー、UCLAの受験結果です。シンガポールの出身校別とし、合格数順に並び替えました。

カリフォルニア大学郡
カリフォルニア大学群UC: 2022年入学、シンガポール出身校別
UC バークレー

バークレーへの入学者を出しているインター校はSASとUWCのみです。Dulwichが合格者を3人出していますが、入学していません。

UCバークレー校: 2022年入学、シンガポール出身校別
UCLA

SASとUWCは合格者をそれぞれ4人、16人だしていますが、入学者はゼロです。他インター校からは、タングリンが5人合格、3人入学。SJIIが4人合格、3人入学です。

UCLA: 2022年入学、シンガポール受験出身校別

(注: 各大学の受験数や合格者の合計は、UC郡の数より多いです。理由は、UC郡の数は、各大学への受験・合格の受験生の延べ数でなく、重複なしに換算したものだからです)

シンガポールで米国大留学は一般的ではない。

背景です。

シンガポール地元民の米国大留学は一般的でない

英語圏のシンガポールから、米国大受験は容易なのですが、UCへの受験者は832人、合格者413人、入学者数は94人しかいません。
旧英国植民地だったこともあり、米国より英国留学が強いです。「米国の学費はずば抜けて高い」ことも、英国志向の理由になっています。
シンガポールでは地元校のNUS(シンガポール国立大学)やNTU(ナンヤン工科大学)が、国内評価も世界ランキングも高い大学です。これらに入学できれば、金銭的苦労を背負って無理に海外留学する動機が弱まります。2024年版QS世界大学ランキングで、NUSは8位、NTUは24位でした。バークレーは10位、UCLAは29位です。シンガポールから海外留学をする事情は、

  1. 地元国立大に入学できなかった
  2. 留学奨学金を得た
  3. どうしても留学をしたい(親元を離れたい)。卒業後は留学国で就職をして、シンガポールを離れたい。

が一般的です。このうち多くが上記1です。地元有名校である国立大に合格できなかった際に、次の候補となるのは国内私立大学のはずです。ところが、シンガポールは国内私大への評価が低く、留学の方が好ましいとの考えが有力です。この場合、留学先の人気は同じ英語圏の豪州、その次が英国です。上記3は、実家が裕福な家庭と、子どもの教育に頑張る家庭ですが、経済負担が大きいので中間層には大変です。

ラッフルズ・インスティチューション (RI) では、UC入学者は15名いますが、うちバークレー8名、UCLA7名です。そもそも、RI生が受験している学校は、UCではバークレーとUCLAのみです。「RI生には、UCLAが米国大留学するボーダーライン」であるのが明確です。「UCLA未満であれば、地元大のNUS/NTU/SMU/SUTDを選ぶ価値観」と解釈してもよいでしょう。なお、たとえ米国有名校に合格できる生徒でも、奨学金がでなければ、シンガポール地元校を選ぶのは珍しくないのが、シンガポールでの評価です。

米国人が多いSASは、米国大学志向が当然強い

SASは米国人のための海外校であって、大学入学を機会に米国に戻るのは一般的な動機です。
SASでは、UC入学者は17名、うちバークレー5人、UCLA0人です。それ以外では、サンタバーバラ5人、ディビス3人です。
SASが最も合格者を出しているのは、ディビスです。受験77人、合格36人、入学3人。

UWCはシンガポール内の2校あわせて、UC入学者が22人、うちバークレー11人、UCLA0人。最も合格者をだしているのは、サンディエゴです。受験132人、合格43人、入学0人。

SAS/UWCのUC受験結果

SAS/UWCのUC受験結果

(注意: 合格者数の総計は重複がありますが、入学者数の総計は重複がないはずです。そのため、各校入学者を合計すると、UC郡の合計者数になるはずですが、なりません… 謎です。そもそも、受験・合格・入学における、人種と留学生の合計が、UC郡全体の数にもなりません。例えば、SASのUC郡入学者はアジア系7人、留学生6人で、合計13人のはずですが、Allが17人になってます。謎です。)

受験結果は、「米国人と留学生」とで細分化して開示されています。私の表では削除していますが、米国人であれば、受験時に人種でスコア修正も入るからでしょうが、人種も開示対象です。シンガポールからUCに出願した米国人がいる学校は、実は6校しかありません。SAS・UWC(Eastとドーバー)・スタンフォードアメリカン・ACS(地元校)・ACS(インター校)です。更にいうと、この内で白人が受験したのはSASのみです。残り全員が、アジア系米国人です。
SASの米国人は、49人が受験し、32人合格、7人入学です。スタンフォードアメリカンは、"アメリカン"を名乗っていますが、UCに出願した米国人は5人のみで、全員が不合格です。

それでも地元校RI、Hwa Chong、ACS、インター校SAS、UWCは強い

シンガポールの地元校の雄、ラッフルズインスティチューションズ・ホワチョン・ACSの3校は、UC受験でもバークレー合格者を出し強いです。
インター校では、UWCとSASが強いです。

おまけ: 日本からのUC受験結果

おまけとして、日本からのUC受験結果も載せておきます。
UC郡全体で合格者が多い順に、ASIS、広尾学園、セントメリーズです。

カリフォルニア大学群UC: 2022年入学、日本出身校別

バークレーには、日本からの合格者は無し。

UCバークレー校: 2022年入学、日本出身校別

UCLAに合格者を出しているのは、広尾学園とASIJです。

UCLA: 2022年入学、日本出身校別

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NTUは南洋理工大学?ナンヤン工科大学? -Nanyang Technological Universityを巡る呼称-

NTUの日本語での表記についてです。
なぜNTUをナンヤン工科大学と表記すべきかについて再度説明します。うにうに @ シンガポールウォッチャー です。

NTUキャンパス

2013年にも解説を書きましたが、大勢をくい留める力は全く無くw、NTUを"南洋理工大学"と呼ぶ残念な表記が日本で更に有力になり、定着しつつあります。
私立大学が有力な国と、国立大学が有力な国とがあります。シンガポールは後者、国立大学が有力な国です。国名と一致した覚えやすさと、日本人の国立大学信仰で、シンガポール国立大学(NUS)ばかりが日本人には知られていますが、NUS以外にも有力国立大学があります。NTUはその一つで、NUSと同様に国立大学です。Technologicalと付いていますが、ビジネススクールなど文系学部もある総合大学です。2013年には医学部も始まりました。QS世界大学ランキング(2023年)でNUSの世界11位についで、NTUは19位と有力校です。

シンガポール人は "ナンヤン テクノロジカル ユニバーシティ" と正式名称は日常会話では滅多に使わず、"NTU" (エヌティユゥ) とシンガポールらしい3文字略語で言っています。
英語表記は問題ないですが、日本語だと、

  • ナンヤン工科大学
  • 南洋理工大学

という表記があります。

Nanyang Technological Universityの表記

大学が認めている表記です。

正式名称 (英語) Nanyang Technological University
正式略称 NTU
正式名称 (中国語) 南洋理工大學
正式名称 (マレー語) Universiti Teknologi Nanyang
正式名称 (タミル語) நன்யாங் தொழில்நுட்ப பல்கலைக்கழகம்

校名に正式な言語表記があるのは、シンガポール公用語の4言語のみです。日本語で見かけることがある"南洋理工大学"は、中国語です。

日本語は"ナンヤン工科大学"で!

日本語では、英語表記 ”Nanyang Technological University" に基づく訳語の「ナンヤン工科大学」を使うのが妥当です。理由をまとめます。

  • NTUは、(華人のための華語大学ではなく) 英語が標準の大学。
  • (現地民族語の中国語でなく)現地の標準表記である英語を優先すべき。
  • NTUの表記は、英語と主要民族母語3つ。中国語表記のみを行うのは、他公用語マレー/タミル語への配慮が欠ける。(中国語での表記の際には、マレー語・タミル語の併記を検討すべき)

華語校でないNTUを中国語表記するのは、中華系以外への民族差別

「中華校でないNTUを中国語表記するのは、中華系以外への民族差別」だというネガティブですが決定的な理由があります。これが理由で、「どちらの表現が良いか」という程度の問題ではなく、「日本語での中国語表記は避けるべき」であり、「リンガフランカの英語表記と、その英語に基づく訳語であるナンヤン工科大学を使うべき」だという結論になります。

シンガポールは、中華系が国民の多数を占める国家ですが、中国ではありません。
シンガポールは中華系が75%を占めるため、人口分布から華人国家という捉え方ができます。ところが、シンガポールは多民族国家です。主要民族として、中華系・マレー系・インド系の3民族が認められています。民族は対等であり、各民族の行事が国の祝日にもなっています。民族対等は、シンガポールが「マレー人のためのマレーシア」を国是とするマレーシアから追放されて独立した経緯からの国是になっています。それがあらわれているのは、「国の誓い (National Pledge)」のフレーズです。「民族・言語・宗教にかかわらず、結ばれた一つの国民として、我々シンガポール国民は誓います」というものです。
・国会遺産局: National Pledge

シンガポールでは、主要民族の母語である中国語・マレー語・タミル語に加え、リンガフランカとしての共通語である英語の4言語が、公用語の指定を受けています。各言語は対等ですが、英語が共通語として、行政・ビジネス・法律などで使われ、実務上や家庭内を含む日常生活で最も一般的です。英語がなければ、異なる民族間で意思疎通ができません
(注: 特別な地位があるのはマレー語です。今では意識することは減ってはいますが、ナショナルラングリッジはマレー語です。国歌や軍点呼に使われています)

日本語での表記は、シンガポールでのリンガフランカである英語に基づくべきです。
NTUは、教育と研究を英語で原則行う、英語圏の大学です。華語校ではありません。学内で中国語は標準利用されておらず、中国語を話さないマレー系学生やインド系学生も学んでいます。教職員も同様です。「マレー系やインド系に対して、南洋理工大学とあなたは表記しますか?」という話です。もちろん、理解されないのでできません。NTUは対外的には、"Nanyang Technological University" (NTU) と英語表記をしています。中国語表記をするのであれば、マレー語・タミル語との併記を検討すべきです。シンガポール政府の広報はこの視点です。英語以外に中国語がついているものには、マレー語とタミル語もついているのが一般的です。マレー語・タミル語を差し置いて、中国語表記のみを日本語で中心にするのは、シンガポールでの民族調和の視点で配慮が欠けます。

シンガポールに慣れている人ほど、マジョリティで付き合いが多い中華系に無意識に合わせていることが多く、中華系国家の罠と言えます。日本人は、食べ物や文化として、主要三民族で最も親和性が高いのは中華系です。日常生活や仕事で中華系視点になるのは各自の環境であって、特に問題はないですが、それがシンガポールという国の制度で推奨できるかは別問題です。

Technologyを理工と訳すのは中国語

日本語での"理工"は、英語のTechnologicalという意味とズレています。英語の "Technological" を「理工」とは日本語に訳しません。日本語で理工だと、science and engineeringです。
Technologyの中国語訳は、理工か技术(技術)です。
大学では一般的に理工の語が使われますが、science universityでは技术(技術)が使われます。例えば中国の大学名ではこうなります。

  • 中国科学技术大学: University of Science and Technology of China
  • 北京理工大学: BEIJING INSTITUTE OF TECHNOLOGY

Technologyを"理工"と訳すのは、中国語の語法であって、日本語ではありません。

「清華大学だろ」

よくある反論です。「おまえ、清華(清华)大学って書くだろ」というものがあります。私も"清華大学"と表記します。チンホワ大学とは書きません。理由は、清華大学は中華圏にある中華校だからです。言うまでもなく、中国は漢字圏で、日本語と共通の漢字が多く残る国です。日本語の漢字で、現地語の漢字表記を行えます。
ところが、南洋理工大学は現地語表記ですが、標準ではありません。標準的な現地表記は、Nanyang Technological Universityです。南洋理工大学は中華系にしか通じない民族表記です。マジョリティであっても中華系のみに通じる表記であって、標準ではありません。

新加坡国立大学

「国名」プラス「国立大学」という日本人への圧倒的な語感の良さで日本人に知られているのは、シンガポール国立大学NUSです。日本に住む日本人で、NUSを知ってる人はいても、NTUを知ってる人は、シンガポール関係者かアジア圏大学に詳しい人でしょう。
ところが、NUSを中国語表記の"新加坡国立大学"とする日本人はいません。南洋理工大学と表記する人でも、新加坡国立大学とは書きません。理由は、"坡"が常用漢字でないからでしょう。

李光耀

シンガポールの国父とされるのが初代首相のリー・クアンユー氏です。中華系なので中国語名があり、李光耀と言います。この中国語表記を使う日本人はまずいませんが、少数います。そのゼロでない人の特徴は、中国(・香港・台湾)から中華圏としてシンガポールを解釈している人たちです。つまり、シンガポール視点ではありません。
李光耀からリー・クアンユーという原音読みをすることは、一般の日本人には不可能です。"りこうき"でしょう。シンガポールの資料は大半が英語であり、李光耀よりリー・クアンユーとの原音読みを知ることの方が圧倒的にメリットがあります。日本人が”南洋”を見て、"ナンヤン"という原音読みをすることは、まず不可能なのと共通します。
なお、李光耀は全て常用漢字です。

NTUを"南洋理工大学"と書く人は、NUSを新加坡国立大学、LKYを李光耀と書くべきでしょう。マレー語・タミル語との扱いでのリスクがありますが、固有名詞の中国語表記の一貫性はそこにはあります。でも、そうする日本人を見たことがありません。
NTUだけを南洋理工大学と表記することが、シンガポールでの用法としても浮いていて、オカシイのです。

なぜNTUへの南洋理工大学が定着しつつあるのか

NTUが"南洋理工大学"と呼ばれるのは、Wikipediaに南洋理工大学で不適切に登録され、それが修正されていないのが最大の理由でしょう。"南洋理工大学"が、偶然に日本語で常用漢字である不幸もあるでしょう。

南洋大学

ひょっとして、読者にシンガポールマニアがいるかもしれません。南洋大学という華語校がシンガポールにかつて存在しました。華人教育を行う施設です。これには、清華大学と呼ぶように、南洋大学と呼ぶべきです。中華校だからです。
南洋大学は、中国からの共産主義浸透を警戒するシンガポール政府が、1980年に取り潰し、当時のシンガポール大学(University of Singapore)と統合します。南洋大学の跡地にできたのが、NTUの前身のNanyang Technological Institute。名前が似ており、同一拠点を使っていますが、現在のNTUは、当時の南洋大学とは別組織です。

「(中国の時代に追いつくために)NTUを南洋大学として華語学校に改組しよう」と提言する政治家(元外相)もいます。実現すれば、新生NTUは南洋大学と日本語で表記すべきです。

チョンバルは中国語・マレー語合作

そもそも、移民国家のシンガポールを、中国語のみで理解するのには限界があります。例えば、地名のチョンバル。チョンは福建語で「墓」、バルはマレー語で「新しい」という意味です。住宅地として開発される前は、墓地だったのが由来です。「新しい墓」です。2つの言語が語源になっています。中峇鲁という漢字がありますが、シンガポールを中国視点のみで理解する限界があるのが分かります。
チョンバルやNTUは、中国視点のみでは理解できない、典型的なものです。

おまけ: 外来語の読み方

ここまで表記について説明してきました。NTUの表記とは関係ないのですが、外来語の読み方についてまとめておきます。読み方にはメディアの業界スタンダードがあります。

内閣告示 "外来語の表記"

1991年に"外来語の表記"が内閣告示されています。
・文化庁: 外来語の表記
これは、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す政府指針です。ところがこれは、外来語や外国の地名・人名を、どのように片仮名で書き表すかが対象です。今回のシンガポールの様に、現地で複数言語で表記される言葉で、どの言語を選ぶかは"外来語の表記"でカバーされていません。
また、内閣告示の"外来語の表記"では、表記のみであって、漢字の読み方をカバーしていません。漢字の読みは、メディアが主導しており、日本政府の方針は"外来語の表記"にはありません。

今のメディアスタンダードです。

中国語 相互主義 漢字表記、音読 例: 習近平 (シュウキンペイ)
韓国語 原音主義 漢字表記、現音読み 例: 李明博 (イミョンバク)

「自国の読み方をお互いに行う」のを相互主義といい、現地音に近い読み方をするのを原音主義といいます。
漢字に限らず一般には相互主義で、表記・読みを互いに自国基準で行います。ところが、韓国とは原音主義になっており、これは少数派です。在日韓国人がNHKを相手どって、名前の現地読みを求めて最高裁まで争ったことが理由の一つです。1988年に、最高裁でNHKは勝ちましたが、以前は音読だったのが現音読みにNHKは方針転換しました。なので、その時代をまたぐ金日成は、「きんにっせい」と「キムイルソン」の両方の読み方に日本人は馴染みがあります。金日成の後継の金正日になると、圧倒的に「キムジョンイル」と呼ばれます。
「韓国政府が、日本政府に原音主義を求め、日本政府が了承した。結果、日韓では相互に原音主義となった」という説がネットでは見つかりますが、韓国政府の具体的な申し出を私は見つけられませんでした。

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Centurion HausとAMEXの解約

うにうに @ シンガポール在住中間層です。10年以上ブログをしていますが、初めて書く日記ですw 内容が「プライベートで、インサイトがなく、経験談」という意味です。
アメリカン・エキスプレス (AMEX) にセンチュリオンというクレジットカードがあります。ローンチされてしばらくしてから、カードが自宅に送りつけられ、それからずーっと持っていました。

どうやってセンチュリオンを取得したのか

「ファーストクラスに乗って、スイートに泊まっていた」が、私のセンチュリオンカードの取得方法です。
取得を狙って、そういう使い方をしていたのではないです。年に何度も飛行機のファーストクラスチケットとスイート予約を、プラチナ時代にAMEXトラベルでしていると、ローンチ後1年たたずにセンチュリオンが送られてきました。夢をぶち壊して申し訳ないのですが、当時、ネットで見た書き込みでは、年齢でも年収でも、私が最低でしたw 今の基準では、私のような幸運はもうないはずです。

センチュリオンが送られてきた時は、私のバブル時代です。バブルの内容は海外旅行です。これまでに行った日本人に珍しい所では、

  • モルジブ (スマトラ沖地震で崩壊したフォーシーズンズ クダフラに泊まった)
  • エジプト (ピラミッド)
  • モーリシャス
  • 南アフリカ (Singitaでサファリをした)
  • ジンバブエ (ビクトリアの滝)
  • イースター島 (モアイ)

などです。乗ったことがあるファーストは、ANA、シンガポール航空、エミレーツ、タイ航空など。ANAとシンガポール航空が大半です。

ホテルは、FHR (ファイン・ホテル・アンド・リゾート) をよく使っていました。FHRは「空きがあればワンランクアップグレード」の特典がお得です。スーペリアを予約してデラックスにアップグレードでは誤差の範囲ですが、FHRで最もグレードが高い部屋、例えばジュニアスイートを予約して、そこからアップグレードされてデラックススイートなどになると楽しいです。
センチュリオン開始当時のプロモーション「マンダリン・オリエンタルに1泊するともう1泊無料」はかなりお世話になりました。実質半額なだけでなく、週末弾丸旅行をしていた私のスタイルにもあっていたからです。他に、ラッフルズホテルと提供した、センチュリオン・スイートも、企画として面白かったです。
ヒルトンのダイヤモンド会員はありがたいのですが、ホテルのラウンジ自体、使い勝手が良いものではないので。

旅行以外の決済利用額はたかが知れており、トラベルデスク利用でセンチュリオン評価へのブーストがかかった印象です。

どうしてセンチュリオンから脱落するのか

「プライベートで旅行をしなくなったから」が、センチュリオンの退会理由です。
今の私のライフスタイルでは、ステータスだけで継続できる年会費 (日本発行55万円、シンガポール発行S$7,560) ではないとの判断です。全盛期と比べ、プライベートでの旅行は格段に減っており、パンデミック時期を除いても、何年も有効活用できていませんでした。
往年、ファーストに散々乗ったので、「ファーストの優位はプライバシー」「ビジネスはフラットシートで寝れるのは助かるが、自腹にはペイしない」という境地に一周回ってようやくたどり着いており、今はエコノミーがもっぱらです。
また、普段の決済にはシンガポール発行のポイントが貯まるカードを使っており、大半の月はセンチュリオンへの請求額はゼロです。
私が持っているのを知ってるのは数人です。期待されてもこたえられないのでw、見せびらかすこともないです。なので、本当に出番がない。
ライフステージが変わったのに加えて、年会費の圧に屈して、潮時と判断しました。「解約がもったいない」思いはそこそこあり、それで"日記"を書いて人生の墓標を残そうかということです。さよなら、ステータス。

センチュリオンホルダー専用ラウンジCenturion Haus

最後に、シンガポールのラッフルズホテル内にあるCenturion Hausに観光として行ってきました。
OSTERIA BBR by Alain Ducasse at Centurion Haus
が正式名称のようです。センチュリオンのみが利用できる、レストラン・バーがついているラウンジです。
年間の利用回数に制限はありません。ゲストも呼べます。センチュリオンなら、シンガポール発行でも日本発行でも利用可能なはずですが、日本では案内がされていないため、日本のセンチュリオンデスクへの問い合わせは適切でないと思われます。スタッフは「イギリスなどからも結構来る」とのことでした。

予約方法

利用には、携帯アプリから事前予約が必要です。アプリストアから"Amex Experiences"をダウンロードしてください。日本語対応はしていません。

"Select your country" で、私はSingaporeを選びました。日本は選択肢にありません。
"Select your card"では"Centurion"を選びます。これで初期設定が完了です。

"The Next Chapter of Centurion"の下で、"Centurion Haus Singapore"が表示されるので、タップします。

Amex Experiences

続いて、"Reserve Now"をタップ。カレンダーが表示され、予約可能時間から選びます。利用時間は2時間15分です。
予約の名前を登録する際に、「どの国の発行のセンチュリオンか」(The Centurion Card I hold is issued (Country):)の記載が求められるので、英語で記載しましょう。その後、カード番号とセキュリティコードの登録も必要です。
加えて、当日の入場時に「センチュリオンの(物理)カード提示」が必須です。

帽子屋に擬態したラウンジ

ラッフルズホテルはシンガポール在住者にはおなじみですが、どこにCenturion Hausがあるか場所が分からず、結局、電話することに。ロングバーの下にマッカランがあり、そこのコートヤード側が入り口です。
入り口の店舗は帽子屋です。CA4LA (カシラ) という日本ブランドの帽子屋さんです。
そこでCenturion Hausの利用だと言うと、センチュリオンカードの提示後に、隠し扉になっている帽子の棚がグルっとまわって、入場です。

CA4LA
Centurion Hausへの隠し扉

私が行ったのは週末のランチですが、他に一組しか利用がありませんでした。中は広くはないのですが、それでも場所はラッフルズアーケード内です。家賃や運営費はお高いはずです。

Centurion Haus, Singapore
Centurion Haus, Singapore
Centurion Haus, Singapore

レストランにはアラン・デュカスの名前が付いています。食事はアラカルトで最も高いものでも$88++。当地基準でそこまで値段が高くはないですが、味は普通ですw ラッフルズ内に入っており、そこから運んでいるとのことです。

OSTERIA BBR by Alain Ducasse
OSTERIA BBR by Alain Ducasse

スタッフから聞いたように、バーとして常連が利用することが多いのは納得。事前予約が必要ですが、場所が良いので、ふらっと立ち寄って軽く飲んで帰る使い方が綺麗っぽいです。シンガポール発行センチュリオンの取得は、納税所得がS$1ミリオン(1億円)がネットの噂です。シンガポール富裕層とお近づきになりたい方は、ここで1ヶ月ぐらいはってると収穫があるのではないでしょうか(真顔)。あとは、シンガポールF1の時にどう運営されるかが、面白そうだと思いました。
スタッフによると、Centurion Hausは現在アジアではシンガポールのみだそうです。「東京チームが見に来た」とスタッフが話しており、「東京にもできるかもしれません」とのことでした。

センチュリオン・ラウンジ 香港

おまけに、香港の空港のセンチュリオン・ラウンジを上げておきます。センチュリオン側です。(2017年)

Hong Kong Centurion Lounge
Hong Kong Centurion Lounge

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