今日もシンガポールまみれ

日本のあっち、シンガポールのこっち

コロナ: シンガポールのドンキは消費者庁が改善要請した空間除菌商品(東亜産業)を販売

うにうに @ シンガポールウォッチャーです。
シンガポールでは、2017年12月に開店したドンキが、日本人以上に、地元民に大人気です。
空港のミニ店舗も含めると、わずか2年ちょっとで8店舗に大増殖しています。私の観測では、地元民と日本人の客の比率は、日本人が数%しかいない印象です。在住日本人顧客依存率を日系店が下げるのは、シンガポールのマスで勝つための必須条件で、それをドンキはクリアしています。日系企業では、ダイソーやユニクロも、日本人顧客に依存しない経営に到達しています。

ドンキがシンガポール人に人気なのは、安いから?

「DON DON DONKI(ドンドンドンキ)」6店舗を運営するパン・パシフィック・リテール・マネジメントの桧山健一生鮮商品統括部長だ。
2017年の同社の進出前、現地の日本産の青果物は「日本での小売価格の3~5倍」(桧山統括部長)。高額の航空便を使うことなどが理由だ。そこで同社では、航空便は一部にとどめ、輸送のノウハウを重ねながら、農産物の鮮度を保持しながら船便で運んでいる。青果の価格は日本の1・5~2倍に収まり、より幅広い人に手が届く価格を実現する。

ドンキでは大根一本が約550円(S$6.9)、えのき茸1パックを約280円(S$3.5、太陽マーク)、なめこ1パックを約230円($2.9, 信州のチカラ)で販売していました(2020年3月)。
日本製造の加工食品で既存の日系の明治屋や伊勢丹と比べました。

3月の価格一覧
商品名 ドンキ (サマセット) 明治屋 (GWC) 伊勢丹 (オーチャード)
カップヌードル (日清) 約260円 ($3.30) 約340円 ($4.35 (ビッグシーフードヌードル)) 約360円 ($4.60 (シーフードヌードル))
味のこだわり (でん六) 約390円 ($4.90) - 約520円 ($6.60)

※価格計測日は同じ日。S$1=80円計算

加工食品なら他店比で若干安いですが、「大根1本550円」と聞くと「えっ。青果の価格は日本の2倍におさまったんじゃなかったの?」と疑問が出てきます。。
利益率と販売個数を掛け算した最大利益を追求した価格を設定するのが企業として当然なので、幾らの値付けをしても別に良いのですが、「ドンキが進出する前は日本の小売価格の3~5倍だったのが、ドンキでは1.5倍~2倍」には同意できません。ドンキ進出前も後も、日本の小売価格の3倍にもなるのは、空輸が必要な魚などです。青果では5倍もの価格差はありません。

ドンキが地元民に人気なのは、価格の安さよりも、シンガポール人が日本旅行で知ったドンキの馴染みやすさが理由と、私は理解しています。地元民にとって「明治屋・伊勢丹で買い物をする」ことは選択肢に通常ありません。値段にかかわらず、思いつきもされないのです。日系スーパーは、在住日本人と地元富裕層の限られた人が買い物するところでした。それが、地元スーパーと並ぶ選択肢になりつつあるのは、ドンキのブランド力です。日本旅行のインバウンドで稼ぎ、帰国後も稼ぐ。好循環です。

東亜産業「ウイルス シャットアウト」

そのシンガポールのドンキで、東亜産業 (〒101-0021 東京都千代田区外神田2-5-12 お客様相談室 TEL:0120-979-183) の「ウイルス シャットアウト」が販売されています。東亜産業は海外向けにはTOAMITと名乗っているようです。

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DONKI-TOAMIT1
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DONKI-TOAMIT2
私も買ってみました。f:id:uniunikun:20200326161206p:plain:h100
「ウイルス除去・除菌」「ウイルス対策に」と商品パッケージに書いています。裏面では「開封した時から二酸化塩素配合の除去・除菌成分が周囲に浮遊するウイルスや菌を除去します」との記載です。ドンキ店内のポップでは「消毒でウイルス除去 (This will help you to eliminate virus by sanitazation)」「ウイルス除去成分を含む (contains virus removal component)」「子ども向け (Ideal for Children)」と説明がされています。

東亜産業の製品への日本の消費者庁からの改善要請

新型コロナウイルスが広まり、便乗商品が作られました。それらには、日本の消費者庁が改善要請を出したものがあります。東亜産業の製品は、その一つです。

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消費者庁

これに対して、東亜産業は自社サイトで弁明しています。

消費者庁より発表がありました、表題の件に関して、弊社が販売しております除菌グッズに関しては、販売当初より、「新型コロナウィルスに対して効果がある」という表示は行っておりません。
弊社商品をお取り扱いいただいている販売店様におかれましては、一般消費者の方の誤解を招くことのないよう、新型コロナウイルスへの効果効能があるかのようなコピーや広告等は控えていただきますよう、引き続きお願い申し上げます。

販売店が暴走し、東亜産業が被害者のように読めますね。
ところが、消費者庁の指摘と比べてみるとそうではないことが分かります。消費者庁が問題としている表示は

  • 身に付けるだけで空間のウイルス除去・除菌
  • 首にかけるだけの除菌ブロッカー
  • 塩素成分で空間の除菌!

です。『新型コロナ』と明記していないのに表示が問題視されています。
つまり、新型コロナウイルス以前に、除菌効果自体が優良誤認と消費者庁は警告しています。それを東亜産業は、『「新型コロナウィルスに対して効果がある」という表示は行っておりません』と焦点をずらしています。東亜産業に必要なのは、販売店への指導ではなく、除菌効果の証明です。
なお、日本環境感染学会誌での「二酸化塩素を発生させると主張する体に身につける器具の実際的な有効性への調査」という論文(2017年)で、効果は否定されています。

英国、香港、タイ、ベトナムで問題になる東亜産業「ウイルス シャットアウト」

東亜産業「ウイルス シャットアウト」は英国、香港、タイ、ベトナムと様々な国で問題になっています。

シンガポールのドンキ豆知識

ここからは、シンガポールのドンキ豆知識です。

ドンキホーテ創業者 安田隆夫氏はシンガポール在住

安田隆夫氏がシンガポールに移住したのは、2015年とのことです。
シンガポール関係者としてメディアに載りだしたのは2016年です。

資産額1792億円の安田隆夫ドン・キホーテホールディングス最高顧問も、15年12月と16年1月に保有する自社株あわせて約1550万株をオランダの自らの資産管理会社に約650億円で売却(移転)しました。柳井氏と同じ「税逃れ」の仕組みです。
日本は、租税回避地への資産移転を防ぐため、15年7月1日以降に海外へ移住する人物が保有する株に課税する制度を導入しました。安田氏は、同制度開始直前の6月26日に自らの住所を東京都港区からシンガポールに移転。巨額の課税を逃れたとみられます。その後オランダに株を移したのです。

安田隆夫氏、シンガポールに17億円豪邸を購入


シンガポールで豪邸を買ったという2017年3月の記事ですが、豪邸購入自体には特に注目点はありません。安田隆夫氏ほど成功している方なら、17億円の住宅ぐらいなんてことないでしょうし、資産家はどんどんお金を消費して納税して、社会を回すべきです。最低なのは資産を溜め込んで、社会に出てこないことです。
私の着目点は

  • 奥様のマ・ヤピン氏
  • なぜセントーサ・コーブ?

です。

マ・ヤピン氏

安田隆夫氏はこれまでに自伝も書いていますが、奥様について詳細に明かされてきたことはありませんでした。安田隆夫氏と奥様の写真は下記(PDF11ページ)で見れます。シンガポールのプライベートクラブの名門であるタングリンクラブの2016年7月の新入会者 (Term Member) として、掲載されています。

セントーサ・コーブは外国人が土地付き住宅を買える例外

シンガポールには不動産購入規制があります。「公団 (HDB) を買うには、新築なら国民のみが買え、永住者が買えるのは中古のみ、一般外国人は購入不可」というのが最も知られていますが、「土地付き住宅を買えるのは国民」というものもあります。その例外が、ユニバーサルスタジオやカジノがあるリゾート中心のセントーサ島のセントーサ・コーブです。外国人が土地付き住宅を買えるのは、セントー・コーブのみです。シンガポールで土地付き住宅は、富裕層の証です。

マ・ヤピン氏の名前が報道された時に、中華系の名前から「奥様がシンガポール人だから、余生をシンガポールで過ごすために帰ってきたのか?」という推測が出ました。マ・ヤピン氏の国籍は報道されていませんが、日本国籍との証言を私は得ています。外国人は、セントーサ・コーブにしか土地付き住宅を購入できません。
逆に、エスタブリッシュなシンガポール国民が、セントーサコーブで土地付き住宅を買うことはまれです。理由は、交通不便な島にあり、新興住宅地で、99年の定期借地権(リースホールド)だからです。国土が狭いシンガポールは、公団をはじめ大半の不動産が借地権です。そのため借地でないFreeholdに、ステータスがあります。
不動産市場加熱を懸念した政府の印紙税などで、セントーサ・コーブの不動産売買では、上述のブルームバーグ記事(2018年)では、売り手は40%の損失を被っていると書いています。日本と違って不動産インフレがあるシンガポールでは、不動産は購入時以上の価格で売るのが当然で、異例の市場になっています。

シンガポール「ドンキ」の運営企業

日本の「株式会社ドン・キホーテ」は店舗名にもなっていますが、ユニーや長崎屋なども含めて束ねているのは株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)です。
海外進出は、PPIH直下にあるPPSI (Pan Pacific Singapore Institute Pte. Ltd.) の担当です。PPSIの法人登記はシンガポール。安田隆夫氏はホールディングス(PPIH)の役職からは降りていますが、PPSIのCEOです。
シンガポールの「ドン・ドン・ドンキ」はPPRM(パン・パシフィック・リテール・マネージメント)という法人が持っています。

シンガポールのドンキが「ドン・キホーテでない」理由

シンガポールのドンキは「ドン・キホーテ」ではありません。「ドン・ドン・ドンキ」です。

シンガポールにはドン・キホーテとの店名のレストランがデンプシー・ロードにあるため、ドン・ドン・ドンキという店名にした。

ということだそうです。

これまでの新型コロナウイルス記事

「健康な人にはマスクは効果がない」がシンガポール政府の立場
uniunichan.hatenablog.com

これまでの更新情報の総集編は、こちらを参照ください。
uniunichan.hatenablog.com

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