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シンガポールビザ:滞在目的別、利用可能ビザ

『したいこと別!利用可能ビザ』





本記事は下記3本立ての第2回目のものです。
シンガポールビザ:属性別、取得可能なビザは?
シンガポールビザ:滞在目的別、利用可能ビザ
シンガポールビザ:違法就労の落とし穴

本記事では、PR、ワーホリ、DP、LTVP(+)、PEP、アントレパス、Student's Passについて集中解説します。EP、S Passについては前記事(シンガポールビザ:属性別、取得可能なビザは?)を参照ください。
本記事の最終更新日は2013年10月30日で、この時点での最新情報であることを期しています。

0. PRはビザの王様、ワーホリもかなり自由

最初の表を見てすぐに気づくことがあります。「PR (永住権) はなんでもできる!」。ワーホリで水商売する人もいるくらい職種も自由で、最低給与にも制限ありません。

  PR (Permanent Resident): 取得困難。二世からは徴兵義務。

PRになる方法は3つ。

1. シンガポール人かPRを親族(配偶者・子供・親)に持つ
2. シンガポールで労働ビザを所持し、居住・労働実績を積んで応募
3. GIPという投資家スキームで応募

3つの応募資格はそれぞれ異なります。
取得の最短は1.のシンガポーリアンと結婚すること。これで結婚後、即座にPRに応募でき取得チャンスがあります。しかし、配偶者スキームでも配偶者の属性や、本人の学歴や職歴により、取得できない人が増えてきています。
労働ビザからのスキームでも、最近は、PRから市民になってくれる人が重視されており、経済属性は引き続き重要ですが、両属性を併せて見られるようになっています。経済属性や学歴にかかわらず、まずは居住年数で足切りをされることが増えています。私の周りの最近のPR取得日本人は取得時に5年以上在住です。金融危機(リーマン・ショック)以前は、税金を2回払っておけば、大卒以上なら、2回目のPR再応募時に受理されていた取得容易な頃がありましたが、そんなゆるゆるな時代は過ぎ去りました。最近では大卒未満PR取得もめっきり聞かなくなりました。
非公式な話としては、シンガポールの大学/院を卒業しているとSG社会への適応性が高いとみなされるために、有利になります。このケースでは居住数年で取得する人もいまだにいますが、2009年以前の卒業生はSGに職を見つけるとPRが付与されていた層です。
PR取得の詳細については下記を参照ください。
シンガポール永住権取得属性と難化状況 ~PRを取れる人は誰か?~

PRは、PRと再入国許可(Re-Entry Permit: REP)から構成されます。PRは名前の通り生涯有効ですが、REPは5年毎更新です。REPを失うと、PRも失効します。以前からREP更新不許可はありましたが、SGにもはや在住していない、などの割りとリーズナブルな理由でした。最近は「給与が以前からあがっていない」「学歴」等の理由でREP更新が不許可になる、との噂が絶えません。シンガポールのPRは永住権とは名ばかりで、5年毎に更新する就労自由なビザが実態になりつつあります。

政府見解としては以下を満たせば、REPは更新するとのことです。
・SG人かPRを親族に持つスキーム:家族がSGにいて、関係を保つこと
・労働ビザスキーム:雇用され、SGに貢献していること
・全てのスキーム:REP失効時にSG外にいれば、PRを失うので注意
Channel NewsAsia: No plans to refuse renewal of PR re-entry permit: Grace Fu
つまり、SG人と離婚すれば、職を失えば、REP発行拒否される、ということです。就労ビザスキームで、リタイア後もSGに滞在しようとしている人には、要注意になります。

PRの取得二世からはNS (National Service) と呼ばれる徴兵に2年間参加が義務となります。子供が男子だと、子供は徴兵です。徴兵への捉え方だけでなく、それが母国以外に発生すること、更に2年間に及ぶためキャリアへの影響も見逃せません。また2年間の徴兵終了後も、毎年訓練に招集されます。これが理由でPRを申し込まない日本人は少なく無いです。
子供がPR放棄をすることでNSを避ける事は可能ですが、PR放棄をすると、SGでの就業・就学・長期滞在は当然として、一時渡航も拒否される可能性がある事は留意すべきです。
外国人男性がシンガポリアン女性と結婚して、PRを配偶者スキームで取得した際は、下記規定によりNS対象になります。(Main applicants who are granted PR status under the Professionals/Technical Personnel and Skilled Workers (PTS) Scheme or the Investor Scheme are exempted from NS.) 現実の運用としては、年齢のため訓練に耐えられないことを理由に、NS免除になっているようですが、留意すべきです。
GIPスキームでのPR取得は4.にて後述。
ICA: Apply for Permanent Residence

  ワーホリ (Work Holiday): 対象大学が「世界ランキング200位以内」と指定され、取得困難。

著名な世界三大大学ランキングであるQS、中国にある上海交通大学、タイムズに、過去5年以内で200位以内に入っている大学生/院生か卒業生であることが応募要件です。具体的には日本の大学では、旧帝大/東工/筑波/早慶のみ。
ビザ期間も半年しかなく、3ヶ月以上大学在籍した25歳以下に限定。ただし対象であれば、申請によりほぼほぼビザ取得できる。職種制限や最低給与制限もない。もしワーホリを利用可能であれば、自由度の高さから様々な使い方が可能。
実質的に、著名校外国人学生向けのインターンシップビザとして使われ、インターンシップの期間中にフルタイム就業先を探すのが王道での使い方。「(技能・経験がない)新卒外国人は学歴エリートしかいらない」というSGらしさがよく分かるビザです。
ワーホリ制度についての詳細と、選定基準となったSG大学事情や、世界大学ランキングについては、私の記事「シンガポールのワーホリビザはトップ校のみが対象の背景」もご参考下さい。
MOM: Work Holiday Pass

■更新
2015年にMOMがワーホリビザの申込資格を緩和しました。詳細はこちらを参照ください。

1. がっつりフルタイムで働くぞ!

フルタイムワーク → EP, PEP, S Pass, DP, LTVP+

EP (Employment Pass), S Pass:

前回記事『シンガポールビザ:属性別、取得可能ビザ』参照。

  DP (Dependent's Pass):扶養家族ビザ

固定月給$4000以上のEP/S Pass取得者の、配偶者と子供が持つことができるビザ。配偶者がEPであれば、DPは雇用主がLOC (Letter of Consent)をSG政府MOM(労働省)に申請すると、LOCのもとで労働可能となります。LOCは申請によりほぼほぼ発行されます。LOCは一時に一つしか発行されないので、複数先への就業(仕事のかけもち)はできません。S PassであればLOCは発行されず、配偶者は労働のためには自力でEPかS Passを取得する必要があります。
特に欧米では、旦那がどんなに稼いでいるエグゼクティブで子供がいたとしても、家事にメイドを入れながら、自分のキャリアをフルタイムなりパートタイムなりで自分の価値観のもとに続ける奥様は珍しくないです。女性が仕事主体で、男性が家庭主体のパターンもあります。DPでのLOCは、優秀な外国人に家族ぐるみで喜んでSGに移り住んでもらうためのものと私は理解しています。
MOM: Dependent's Passs
MOM: Letter of Consent (Dependant's Pass holders)

  LTVP+ (Long Term Visit Pass Plus):PR取得できないがSG人が家族にいる人のビザ

シンガポーリアンと結婚すると、配偶者はLTVPが取得できます。そこから更に、SG国籍の子供をもつか、結婚3年以上経つとLTVP+にアップグレードされます。LTVPは労働不可ですが、LTVP+になるとLOCが発行されるようになり労働可能となります。また、入院時にPR同様の公的扶助も出ます。
LTVPもLTVP+も、配偶者スキームでのPR取得難易度があがっており、PR取得するまでのビザ、あるいはPR取得できなかった人が持てるビザです。就労可能となるLTVP+取得まで3年待つ必用があるのは、偽装結婚防止と私は解釈しています。
ICA: FAQs Visit Pass
MOM: Letter of Consent for Long-Term Visit Pass - Plus (LTVP+) holders

  PEP (Personalised Employment Pass):取れる人は簡単に取れ、取れない人にはPRより取得困難

PEPの強みは二つ。

1. SGで失職しても半年間滞在可能
2. 副業可能

PEPとは申請者本人がスポンサーになるEP。つまりビザスポンサーが不要な事が特徴。MOMはPEPをプレミアムパスと呼んでいます。ビザスポンサーとはビザを申請するときの保証人。就労ビザであれば就労先企業、滞在ビザであれば知人・親族などの招致人になります。具体的にはEPでは勤務先が、LTVPでは訪問親族等がビザスポンサー。そのため、EPの身分証明証では勤務先とポジションが明記され、これらが変更する時はビザは再審査になります。
PEPでは就業先がスポンサーでないため、勤務先にかかわらず本人の属性のみで審査・発行されます。PEPの身分証明カードには勤務先もポジションも記載がありません。
SG在住者はEPでP1カテゴリーの固定月収S$12,000(約80万円)以上の人が申請可能。SG在外居住者も最後の月収がS$18,000(約120万円)相当なら申請可能。年収1千万円あれば申請というのは、SG給与水準は日本のだいたい2割引きであり、かつインセンティブなどの変動手当を含めない固定給がこの金額なので、対象者は限定されます。
PEP期限は3年ですが、$144,000の年収が毎年必要で、下回るとPEPは失効します。

  EP/S Passが失効したら!?
勿論、このPEPで求められる収入があれば、ほぼ確実にEPが出ます。なのでPEPのメリットは、ビザ発行の確実性ではなく、無職の状態でもSGに半年間滞在可能なこと。高給与な人ほど突然の失職可能性が高いです。外国人は離職によりEP/S Passがキャンセルされると、30日のShort Term Visit Passが発行されます。つまりSGから30日以内に帰国を余儀なくされるため、それまでに就職活動をして内定を得てEP/S Pass発行までこぎつける必要があります。このEP/S PassキャンセルでのShort Term VIsit Passは期限延長ができません。自分で次の転職先を用意して退職する場合には問題無いですが、解雇になるケースではこの短期間では相当きついです。PEPを所持していると、無職でのSG滞在を半年まで延長できる保険になります。つまりPR取得のためにSG在住実績を作っている途中の人、PR取得したくないがSG滞在の保険をかけておきたい人にはPEPは有効です。
PEPは要件を満たしているとほぼほぼビザが発行されます。しかし、PEP申請には現在EPを所持しているか海外居住である必要があり、かつ申請結果受領まで公には5週間かかることになっている  ので失職後の申請は時間との勝負です。特に解雇予告なしの即時解雇ではPEP発行までに30日のShort Term Visit Pass滞在期限が切れる可能背性があります。

PEPでは副業が可能です。PEP Notification FormにNEW/ ADDITIONAL EMPLOYMENTという項目があることで確認できます。なお、EPで副業が可能かどうかは確認できていません。

PEPの弱点は企業のDirectorになれないこと。つまり起業に使うには原則できません。日本からのSG富裕層移住が話題にのぼっていますが、SGでサラリーマンをするのでなければ、PEPは使えません。つまり、日本在住者の場合、PEPの必要所得を満たしていても起業家にはPEPは無理で、金融系など高所得サラリーマンには有効です。
PEPの有効期間は3年、生涯で1度しか発行されません。申請タイミングにはご留意。
MOM: Personalised Employment Pass

2. 家庭に趣味に生きる私はお仕事もパートタイムで頑張る!

パートタイムワーク → PR, ワーホリ, PEP, DP, LTVP+

DPとLTVP+は就労にLOCが必要です。勤務先がMOMにLOCを申請し、LOCが承認されれば労働が可能になります。LOCで働く一番の特徴は、月額最低必要給与がないこと。そのため、パートタイムで自由に働くことが可能です。なので「LOCではパートタイム労働ができる」というより、正確には「LOCでは最低給与が決められていないので、パートタイムの限られた収入でも労働許可が出る」ということです。

3. インターンシップで将来に備える!

無償労働 → PR, ワーホリ, PEP, DP, LTVP+

時々誤解がありますが、シンガポールでは無償労働でもインターンシップでも就労ビザが必要です。ビザ無し入国ではインターンシップできません、違法です、強制退国にあいます、犯罪者になります。止めましょう。国外退去はSGでだけの問題では済まなくなります。SG以外の国のビザ申請でも「他国で国外退去になったことがあるか?」は犯歴確認と同様によくある質問です。SGで国外退去になると、他国のビザ申請でも不利になります。
PR、ワーホリか、最低給与制限がないDPかLTVP+のLOCで無償労働が可能になります。
無償労働のビザの詳細については下記参照。
シンガポールビザ:違法就労の落とし穴: 5. インターンシップ・無償労働

4. シンガポールといえば起業!

起業 → PR, ワーホリ, EP, EntrePass

起業に必要な手続きは、ざっくり以下です。
1. ACRA (会計企業規制庁) で法人登記
2. 就労ビザ取得
3. 業態ごとに必要なライセンス修得
「シンガポールで会社を作るのは簡単」と世間で言われているのは、外国人にも法人登記は簡単という意味です。ライセンスや各種許可取得もフェアです。東南アジアにつきものの賄賂は皆無、プロセスはクリア。問題は、自営に必要な就労ビザの取得難易度が以前より上昇してきていることです。
法人登記は外国人でも会計事務所や法律事務所に頼むことで容易にできます。設立には、、、という説明は私よりジェトロの日本語解説をどうぞ。
ジェトロ:外国企業の会社設立手続き・必要書類 - シンガポール

日本でビジネス実績があったうえでのシンガポール進出でなら、資本金も積めるでしょうしそこまで問題にならないのですが、事実上の個人事業主として起業する際にはビザ取得がハードルです。
十分な資本金が無ければ、ビザが下りるかは賭けです。「駐在/現地採用で5年ほど居住してPRをとり、ふとその気になったのでPRを活用して自営を始める」が自営でのビザに関しては最も低リスクです。

  EntrePass:

かつては外国人の、一人親方や飲食や小売といった独立・自営の王道はアントレパスでした。資本金を積めなくても、申請者の学歴や職歴が弱くとも、事業計画書を書けば簡単にアントレパスでの労働ビザが下りていた時代がありました。
しかしながら、ゆるすぎて不正滞在に使われるようになり、金融危機後の外国人労働者への風当たりが強くなった2009年に基準が厳格化。アントレパスでのビザ取得は激減です。下記が現在のアントレパスの要件です。

- 資本金にS$5万以上
- 30%以上の株を所持
- 法人登記から半年以内
- 以下のいずれかを満たすこと
1. SG政府が承認しているベンチャーキャピタルかエンジェルが投資
2. 国際特許(IP)を取得
3. SG政府科学技術庁(A*STAR)かシンガポールの高等教育機関が認めた研究機関との研究協力
4. SG政府が支援するインキュベータでインキュベーションを受けている

特に最後の4要件が2013年に加わったため難易度が跳ね上がり、アントレパスを申請できる人は激減でしょう。この4要件によってSG政府が考えるアントレプレナーとは、飲食・小売の個人事業主ではなく、イノベーションをおこせるチャンスがある人であることが明示されました。
MOM: EntrePass

  GIPスキームによるPR取得:

編注:本章の記述は2012年のものです。2017年4月現在の内容については、このリンクを参照下さい。

uniunichan.hatenablog.com

GIP (Global Investor Program) はシンガポールに投資する投資家向けスキームです。SG居住実績などSGとこれまで関わりがなくとも申請可能。
■応募要件
(a) 少なくとも3年の起業家/ビジネス実績があり、所有企業の過去3年間の財務状況の監査を受けること。
(b) 所有企業が不動産か建築であれば、直近年で最低$2億(約160億円)の売上高と、過去3年間で平均して$2億(約160億円)の売上高を満たしていること。
所有企業が不動産か建築以外であれば、直近年で最低$5000万(約40億円)の売上高と、過去3年間で平均して$5000万(約40億円)の売上高を満たしていること。
(c) 非上場企業であれば、少なくとも30%の株を所持していること。企業の成長と利益が審査対象となる。
※審査にはICA(イミグレーション)とのインタビューが含まれます。

■投資要件
GIPの申請では、以下2つのどちらかを実行することが求められます。
Option A: 新規ビジネス法人か既存のビジネス拡大のために、最低$250万(約2億円)を投資
※Option AではSG政府から会計監査を受けることになります。
Option B: シンガポールベースの企業に、シンガポール政府のGIPファンドを通して、最低$250万(約2億円)を投資。

■更新要件
永住権はRe Entry Permit (REP)という再入国許可証とセットになっています。REPは最長でも5年で更新が必要になります。REPは当初5年間発行されますが、この更新要件です。
・REP三年更新: GIPのOption AかBを履行する。その上で次の2つの上のどれかを満たす。
(i) シンガポールで始めたビジネスで5人以上のシンガポール人を雇用し、かつ、一年間でのビジネス総費用に$100万を利用。
(ii) GIP申請者本人か、GIPでPRになっている扶養家族の最低一人が、GIP期間の半分以上をシンガポールで滞在する。
・REP五年間更新: 下記三つの全てを満たすこと。
(i) GIPのOption AかBを履行する。
(iii) シンガポールで始めたビジネスで5人以上のシンガポール人を雇用し、かつ、一年間でのビジネス総費用に$100万を利用。
(iii) GIP申請者本人、かつ、GIPでPRになっている扶養家族が、GIP期間の半分以上をシンガポールで滞在する。

SG政府コンタクトシンガポール: Global Investor Programme

EDB(シンガポール政府経済開発庁): Global Investor Programme

 

設立企業をスポンサーにして自分にEP申請:

これがダントツに一般的です。外国人による法人設立の大半は、既存海外企業のSG進出だから。申請して労働ビザがおりるかどうかは、企業属性として資本金・設立年数・SG人雇用数、など、自分の属性として、給与・職歴・学歴などが変数となります。最近では、オーナー自身へのEP発行には、資本金として10万シンガポールドルが欲しいと言われています。10万シンガポールドル未満でも、EPが発行されるケースも現実にありますが、却下の確率があがります。

LTVP+ではFAQで明確に自営は対象外と記述があり不可です。個人事業主にDPでのLOCが下りた、という話はあります。しかしLTVP+で自営が対象外になっていることから、DPでのLOCによる自営も封じられる可能性があります。興味があれば、実績あるSG進出コンサルを探してみて下さい。もちろん、LOCなしでDPが自営を含めて就労することは違法です。
MOM: FAQS ON LETTER OF CONSENT (LOC) FOR LONG TERM VISIT PASS PLUS (LTVP+) HOLDERS

5. バリバリ勉強するぞ!

フルタイム学生 → PR, ワーホリ, Student's Pass, LTVP, LTVP+

  Student's Pass: 学生ビザ

フルタイム就学ができるビザは学生ビザ(とPR)のみ、パートタイムは短期滞在者も可がシンガポールの原則です。

シンガポールではたとえ短期間であっても、フルタイム就労には学生ビザ取得がオプションではなく必須という謎の制度になっています。STVP(短期滞在)などでの短期滞在期間であればビザは不要では、と思うのですが、そうなっていないです。

フルタイムでも、語学学校では、必要な授業出席数を満たさないと、Student's Passの没収などの措置があります。これは

ICA: Becoming a Student's Pass Holder

Studnet Passは勉強する学校によって、権利が異なります。語学学校ではStudnet Passでの就労は不可ですが、国立大学(NUS/NTU/SMUなど)では、学期期間中は週に16時間、長期休暇中はフルタイムで就労できます。これはインターンシップでの活用が前提になっていますが、給料をとることもできます。

6. 勉強も頑張ります!

パートタイム学生 → PR, ワーホリ, SGに入国できるパスならどれも可
日本人なら空路でのビザ無し入国(Social Visit Pass)で30日の滞在が可能です。e-XTENDで申請して認められると最大60日まで滞在可能です。

シンガポールビザ:違法就労の落とし穴: 合法的な滞在延長方法:Extension of Short Term Visit Pass (e-XTEND)

ビザ無し入国で滞在期間中に学校に通うことは何も問題ありません。
その一方、パートタイム学生には、大学・ポリテク・語学学校含めStudent's Passが出ません。これはStudent's Pass発行に必要な授業時間が決まっており、パートタイムではビザ発行に必要な授業時間数を満たせないためです。

7. 本業がありますが、週末は友人の仕事を手伝ってます

フルタイムワーク+パートタイムワーク → PR, ワーホリ, PEP
友人の仕事をパートで手伝ったり、家計の足しにするパターンが想定されます。

8. 仕事もガッツリしながら、勉強もします!

フルタイムワーク+パートタイム学生 → PR, ワーホリ, EP, PEP, S Pass, DP, LTVP+
就学にはビザは不要なので、働く事が可能なビザを持っていれば、勉強もできます。
昼間は働き、夜間・週末には通学して、SGでMBAとる人もいます。

  9. 勉強中心に、多少は収入確保!

フルタイム学生+パートタイムワーク → PR, 一部Student's Pass

SGでの学生バイト

日本で留学生は申請すればバイト・労働できますが、先進国では学生ビザではバイトを含め就労不可や、米国のように  学内 (on campus) での就労、例えば図書館やTeaching Assistantのみなどの制限付きが大半です。外国の小金持ちにお客様として来てもらうか、優秀学生に奨学金出して来て欲しいかなので、「学費が足りないからバイト」は自国労働市場への参入となり困るわけです。「学費が足りないなら自国で貯めてから来い」というのが多くの先進国の学生ビザへの考え。さもないと、学業でなく、就労目的の学生で溢れかえる日本のようなことになりかねません。

他の先進国同様に、SGでバイトが許される Student's Pass には、学校・カリキュラムに限定があります。
Polytechnicという技術専門学校と国立大学(NUS/NTU/SMU等)に在学する、フルタイムのStudent's Passの学生は、週に16時間まで労働可能。バケーション期間にはフルタイムでの労働が可能になります。パートタイムの学生は、そもそもStudent's Pass対象外です。
語学留学で発行されるStudent's Passでは、バイトは許されません。たとえば、NUS(National University of Singapore, シンガポール国立大学)なら大学ですが、NUS Extensionでは大学ではないので、NUS Extension在籍で発行されるStudent's Passでのバイトは不可です。
就学可能な大学リストに掲載されている大学でも、日本からの交換留学生等は学籍が日本にあるため、SGではバイト含めて就労不可です。

就労可能な大学リストは下記リンクを参照。

MOM: Employment of foreign students

Singapore Education: Work / Employment

10. 勉強中心に、インターンシップで社会経験!

フルタイム学生+インターンシップ → PR, Student's Pass
シンガポールでは有償・無償労働を問わず、就労には労働ビザが必要です。8.で記載したように、語学留学でのStudent's Passでは就労は許されていないことから、無償労働でもインターンシップはできません。国立大学生に発行されるStudnet's Passでは、学期期間中は週に16時間、長期休暇中はフルタイムで就労できます。フルタイムMBA学生が、勉強しながら時間を作ってインターンをするのがこれに該当するパターンになります。

11. 起業しながら、勉強も少々!

起業+パートタイム学生 → PR, EP, EnterPass
そうそうないとは思いますが、起業した人が、パートタイムMBAで勉強するパターンでしょうか。
勉強することには何の制約もないので、起業に必要な労働ビザを取るこを中心に考えることになります。
大学・Polytechnicに通うフルタイム学生のStudent's Passは労働時間の制限付きでも就労可なのですが、パートタイム学生にはStudent's Passが出ないので、この方法は取れません。

  12. 企業勤務ですが、週末起業からまずは始めます!

フルタイムワーク+起業 → PR
多いのが「iPhoneアプリを作ったのでお小遣い稼ぎ!儲かればサラリーマンなんか辞めてやるけど、今はリスク取らずにサラリーマンを継続」というパターン。起業した企業での労働ビザなければ、違法です。
サラリーマンしている企業からのEPのみでは起業を始められません。EP発行時に発行されるEPカードには企業名の記載があります。勤務先がビザスポンサーになっているためです。もちろん、就労はEPカードに示されている企業のみで許可されています。勤務先ごとにEPを申請すれば複数企業で勤務できる、という説がありますが、確認できていません。

民法的にも問題があるケースもあり、勤務先の就労規則が兼業を許可していなければ、懲戒解雇などの処分を勤務先から受ける可能性があります。起業前に勤務先の就業規則を確認しましょう。

13. 起業しましたが、バイトでも稼ぎます!

起業+パートタイムワーク → PR
起業してそっちが本職なんですけど、起業での仕事が安定するまではバイトでも生活費を稼ぐパターン。パートタイム労働(正確にはEP/S Pass必要給与を満たさない労働)は、PRとワーホリを除くと、DPとLTVP+のLOCのもとでしか認められていません。LOCは同時に一箇所の就労先にしか発行されないので、複数就業はできません。そのため、PRとワーホリのみが、起業とバイトの掛け持ちができます。

 

※シンガポールでビザの状況は頻繁かつ予告なく変わります。最新状況はシンガポール政府ホームページなどの一次情報で確認下さい。

※本ブログの記述は、筆者の調査・経験に基づきます。記述が正確、最新であることは保証しません。記載に起因する、いかなる結果にも筆者は責任を持ちません。記載内容への判断は自己責任でお願いいたします。