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シンガポール ブキバト自然公園での日本人母子無理心中の検視官報告

2019年11月14日、シンガポールのブキバト自然公園で日本人母子の遺体が発見されました。無理心中と報道され、事件は日本人コミュニティに衝撃を与えました。
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2020年10月19日、検視官の調書が開示されました。現地の主要メディアで全紙が報道しています。

各紙の報道をまとめます。



日本人女性(41歳)は、自宅で自分の息子を絞殺し、自然保護区で自殺する前に、深刻なうつを患っていた。
死亡する数日前に、仕事と2人の子どもの世話を女性は治療を求めていた。仕事と自分の2人の子どもの世話をすることができなかったためだ。

処方された薬は助けにならず、睡眠障害と不安を感じ続けていたと、遺書に書き残している。
5歳の長男が、心配とストレスの原因だった。子どもは、ADHDと自閉症を患っていた。


11月13日21時に、雇っていたメイドが、女性と長男の生前の姿をみた最後だった。子ども2人が寝付くまで、女性が本を読み聞かせていたのを、メイドは見ている。次の日の午前6時10分に、メイドが起きて、アッパーブキティマの自宅から女性と長男がいなくなったのがわかった。女性がメイドに、子どもを熱のために病院に連れて行くとメッセージを送っていたので、メイドは日常の家事を続けた。
監視カメラによると、朝5時39分に女性は自宅を運転して出ている。5時52分にLorong Sesuaiに着き、車を森林地帯に止め、車から降りた。森林地帯を歩き、傾斜を降りた。道路にそって他に車は見当たらなかった。女性だけがそこにいるのを、後に警察が発見している。

しばらくして、ブキバト伝送局の近くに配備されているAETOS社の警備員が車両を見つけ、車の後部座席に無反応な子どもを見つけた。眠っているように見え、白い布でおおわれていた。ノックに応答がなかったため、警備員は警察に通報した。



MHCメディカルセンター (Amara) からの医学報告は、11月11日に治療を求めて来院したと述べている。
女性はストレスを感じており、仕事をしながら2人の子どもの世話をするのは困難と、医師に伝えている。
睡眠不足であり、食欲がなく、体重が減り、髪を失い、一週間の間動悸が起きていた。自殺衝動は否定していた。
診療時に精神科医への紹介が行われ、同日に診察を受けた。女性は精神科医に、長男のためにストレスを感じていると告げたが、理由は明らかにしなかった。女性が、うつを感じ、自殺する考えを持っていると精神科医に女性が告げた後に、精神科医はシンガポールジェネラルホスピタル (SH) の救急を紹介した。SGHにタクシーで直ちに向かった。
SGHの医療報告によると、女性は、過去1年にわたって落ち込んでおり、精神的に沈み込んでいた。積極的な自殺は否定し、不眠症の薬を処方され、女性のプライベートの精神科医へのメモを渡され、病院から出た。

翌日、プライベートの精神科医を訪れたときに、SGHでの処方された睡眠薬を飲んだが、眠ることができなかったと女性は告げた。
食欲はなく、8キロ体重が減っており、エネルギーを低く感じ、仕事に集中できず、仕事へのモチベーションが弱く、息切れと落ち着きの無さを経験していた。
一週間前に、自分の命を終わらせる考えを一瞬持っていたと告げた。しかしながら、どんな準備もしておらず、子どものために自分を傷つけることはしないと述べていた。精神科医は、深刻なうつ病と診断し、抗うつ剤と精神安定剤を処方した。三週間後に再訪するか、引き続き睡眠が困難か症状が悪くなればそれより早く再訪するようにと精神科医は女性に伝えた。
うつと診断されており、睡眠に不安だったが、「積極的な自殺」ではなかった。女性のプライベート精神科医は、「自分の考えに関連性があり首尾一貫しており、精神病の兆候なしに会話をしていた」としていた。


夫は10月30日から中国に出張していた。妻と最後に話したのは、11月10日だった。海外から電話で話した時、全てが通常通りに見えた。妻は子どもを愛しており、子どもたちに決して暴力をふるったことはないと夫は話している。
「夫は仕事で忙しく、しばしば午後10時になって帰ってきていた」が、夫と妻の関係は通常のものだったと、検視官報告書はあらわしている。
夫は、妻がなぜ自殺に至ったかは分からなかった。シンガポールに戻ったときに、妻がうつを患っており、自分の息子がADHDと自閉症で学校でうまくやっていけないことに悲しみを感じているとの、SGHからの手紙を見つけた。


女性は、日本語で2通の遺書を残している。
夫にあてた女性の遺書では、自分はうつであり「長男を自分と連れて行く」と女性は書いていた。
自分のパニック発作は過剰であり、しばしば過呼吸になっていたと加えている。もし自分が倒れれば、子どもの面倒を見る人は誰もいなくなるのを、恐れていた。
女性は自分の行動を詫び、次男への心配をあらわした。夫に次男の世話を見るように繰り返し頼み、次男の成長、世話について詳細な指示を残していた。

二通目の遺書は、日本にいる兄弟にあてたものだった。次男の親権を兄弟がとり、兄弟の子どもと一緒に育てるよう懇願していた。次男の将来の費用についての金銭的な準備を兄弟に伝えていた。

証拠に基づくと、長男の死亡は母親の手による違法は殺人だったが、女性の死は意図的な自殺と結論づけている。検視官は、家族に追悼を述べている。

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Lor Sesuai
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