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ジンバブエとシンガポールと中国: シンガポール留学の大統領ムガベ氏の娘

こんなニュースがシンガポールで流れていました。

ジンバブエ大統領の娘がMDISで修士取得 (2013年11月16日)

Channel News Asia: Daughter of Zimbabwe president graduates from MDIS
ジンバブエは独裁強権政治とハイパーインフレで、日本でも有名になった国家。
MDISはシンガポールの私立大学。ムガベ大統領の24歳娘がMDISで、修士号を取得。中国の大学学部で取得した勉学の続きである、会計とファイナンスの修士。卒業式には、ムガベ大統領夫妻と兄弟も参加。大統領は「アフリカ・米国・マレーシアに国の奨学生を送り、SGは少なかったが今後は送りたい」とコメント。

この記事、非常に興味深いです。
CNAの記事の切り口は「アフリカ留学生が増えていてムガベ大統領の娘もその流れ」とシラッと書いてますが、それだけのワケはないですよね、勿論。

  1. ムガベ氏は高齢なはずだが、孫じゃなくて娘が大学院卒業?
  2. なぜシンガポールの学校なのか?
  3. なぜMDISか?

1. ムガベ氏は高齢なはずだが、孫じゃなくて娘が大学院卒業?

現在、ムガベ氏89歳、娘24歳。つまりムガベ大統領が65歳でできた子供
今の妻は二人目。48歳なので、大統領と41歳差。ムガベ大統領と今の大統領夫人は、共に結婚二度目。大統領夫人は前夫と結婚しながら、大統領秘書としてムガベ氏の愛人になる。この間に2人の子供を授かる。ムガベ氏前妻の死亡後に、二人は挙式。ジンバブエのメディアが「世紀の結婚」と呼んだ立派な挙式だった模様。夫人は当時31歳。夫人の前夫は、現在中国ジンバブエ大使館にて勤務中

2. なぜシンガポールの学校なのか?

2002年のジンバブエでの不正が疑われている選挙のため、大統領と夫人は米国とEUから渡航禁止及び財産凍結処分を受けている。そのため、娘の米国EU留学は困難な模様。
ムガベ家はマレーシアと香港に不動産を所持。2008年に、暗殺を避けるためマレーシアへの移住を夫人が希望と報道されている。香港の不動産は、娘の在学、政変が起きた際の夫妻の逃亡目的と報道されている。
娘の大学(学部)は、当初は香港大学と見られていた。ムガベ氏政治への反発から、ジンバブエ大学で抗議運動が発生。けが人が出たため、学生は「同じ環境でムガベ大統領の娘も勉強しろ」と在ジンバブエ中国大使館に抗議。香港大は「該当する名前の学生およびジンバブエ国籍の学生は在籍していない」と声明を出す羽目に。論争に香港政府は「外交は北京が担当」と逃げ北京外交部は「ムガベ家の不動産所持は確認できない」と発表。
結局、在籍は香港城市大学。この卒業式にも、夫妻で香港の卒業式に参加しています。
The Zumbabwe Guardian: Bona Mugabe graduates from City University

娘がなぜ香港の大学院を選ばずに、シンガポールにしたのか。アフリカに肩入れしている中国がムガベ家と距離を置いたのか、大統領家が主体的にシンガポールを選んだのかは不明。

ムガベ氏、シンガポールは以前から出入りしており、数年前には右目の手術、2014年には左目の白内障手術をシンガポールで受けています。前立腺癌をおいながら元気。
Strait Times: Zimbabwe president Mugabe in Singapore for eye operation ahead of 90th birthday

3. なぜMDISか?

シンガポールで評価がある国立大学でなく、私立大学MDISへの入学は学力不足か、シンガポール政府が距離を置きたい意向があったのかも不明。

シンガポールは北朝鮮と外交を持つ数少ない国の一つであることが示すように、独自外交を展開する国。今後アフリカに注力することが明らかな中で、他国が避けるジンバブエと親密さを持ちたいと考えるのは不思議ではなく。私立大学とはいっても政府として学生ビザ審査にも関与しているわけで、米国EUが入国禁止をしている家族の娘を学生に迎えるのは、相当な腹があってのことでしょう。



参考資料
Wikipedia: Robert Mugabe
Wikipedia: Grace Mugabe

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