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今日もシンガポールまみれ

日本のあっち、シンガポールのこっち

海外就職: シンガポール職種別給与相場 ~現地採用のケース~

海外就職 シンガポールライフハック

日本より安いシンガポール給与

「セカ就」という名前まで付いて海外就職をあおられる時代。アジアでぶっちぎりの先進国は香港とシンガポール。「発展途上国は給料安いし、中国はちょっとなぁ」と考える人にはシンガポールは魅力的。そんな人が、さてシンガポールで就職活動を始めると驚く事になります。求職者本人は「東南アジアの南の島にまで行くんだから、日本の現職から給与は2割は上でないと移る理由がない」と人材会社のエージェントに堂々と言う端から「給与は日本での2割ダウン。ほとんどの方は月給$3000から$5500の間になります。面接のための渡航費はご自身での負担になります」と言われて、呆然とするわけです。
「えっ!?シンガポールの一人あたりGDPって日本より高いんじゃあ!」
と早とちりされた方。

日本 シンガポール
一人あたりGDP:名目 (世界銀行2005-2012) USD 46,707 USD 52,052
一人あたりGDP:購買力平価 (IMF2012) USD 35,178 USD 61,803

からくりはこうです。

  • 富裕層移民がシンガポールは多く、GDP平均値を押し上げること
  • シンガポールは日本より共稼ぎ率が高いこと
  • シンガポールの単純労働移民が物価を押し下げることが、特に購買力平価の上昇を大きくすること

一般的に、日本と同じポジションでは、給与相場は2割引きになるのが相場です。アベノミクス円安が始まる前は4割り引きでしたので、為替で差は縮まりました。
そこから、プラス要素の税金が安いという点と、マイナス要素の社会保障が自己負担になったり退職金がなくなる等の要素を計算した後に、「それでもシンガポールでの仕事を選ぶのか」を決断することになります。
金融専門職などのように高給与サラリーマンほど節税恩恵を受けやすく、低給与であれば社会福祉が自己負担であるデメリットが増します。シンガポールでの税効果を確認するにはこちらを参照ください。
シンガポール移住での節税効果と収入別暮らし向き
本記事は、いわゆる"現地採用"で働く場合の話であって、日本に籍を置いての駐在で働くのであれば、日本の給与相場を維持し、駐在手当・住宅手当などもろもろの福利厚生が付きます。シンガポールと日本での待遇の違いを確認するにはこちらを参照ください。
海外現地採用者は日本本社駐在員の下僕なのか?

SGでの高給取りとは月収$1万以上

http://statutes.agc.gov.sg/images/download/9a88c48e-3a2a-4e4f-a3df-115f22631e4b.jpeg
Photo Source: http://statutes.agc.gov.sg/aol/search/display/view.w3p;page=0;query=Id%3A%22458c73d4-3626-46bf-8acd-ca54ea00a1b2%22%20Status%3Ainforce;rec=0
日本では「年収1千万円」が高給取りサラリーマンの目安ですが、シンガポールでは「月収$1万以上」です。今は1シンガポールドルが80円前後なので、月収80万円、年収960万円+ボーナスです。日本は年収で考えますが、SGでは色んな基準が月収です。私も年収の方が年でならされて良いかと思いますが、文化の違いですね。
就労ビザで言うとEPのP1というカテゴリが基本月給$8000以上になり、高給取りのサラリーマンと言えます。これがPEPという就労ビザでは$12000になり、十二分に高給取りです。

  • 日本 2500万円超: 0.3%、2000-2500万円: 0.3%、1500-2000万円: 0.9%、1000-1500万円: 4.5% = 日本の年収1千万円超は6.0%

国税庁 平成23年 民間給与実態統計調査結果: 給与階級別給与所得者数・構成比

  • シンガポール 上位10%: $11552、上位20%: $5004、上位30%: $3658 = SGの月収$1万超は10%強

2012年 シンガポール居住就労者における世帯員単位での平均月額世帯収入
MOM: Key Household Income Trends, 2012: Table 16A. Average Monthly Household Income from Work including Employer CPF Contributions Per Household Member AMong Resident Employed Households by Deciles, 2000 - 2012

SGの上記統計の母集団は国民と永住者(PR)です。なので、住宅手当など各種駐在手当が支給され、所得がかさ上げされる駐在員は含まれていません。
日本はバブル崩壊後、何十年も「年収1千万円」が目安でしたが、SGでは2000年の上位10%は$5801でした。日本が足踏みしている間に、シンガポールは経済成長を持続させ、インフレも給与の額面上昇に貢献していたのです。
※なおここでの上位10%の月収1.2万ドルはPEPという就労ビザの必要額に近似であることを指摘しておきます

役職での給与レンジ

MOM: Report on Wages in Singapore
MOM(シンガポール労働省)の賃金調査で最新の2011年6月データからものです。この後には就労ビザの必要金額上昇など、厳格化がとられたことで、現在の給与相場はこの数値から上昇しています。

2011年6月 月額総賃金支払額 (P.60)

下位25% 中央値 上位25%
マネージャー $4620 $6630 $10079
専門職 $3600 $4632 $6300
アソシエイト専門職 $2480 $3070 $3902

2011年6月 産業別35歳から39歳年齢での総賃金支払い中央値 (P.64)

金融 情報通信 製造 飲食
マネージャー $8085 $7859 $5946 $3615
専門職 $6368 $5122 $4568 $3541
アソシエイト専門職 $3761 $3327 $3263 $2566

専門職(Professionals)とは日本でいう総合職に近いです。
アソシエイト専門職(Associate Professionals)とは、総合職の中でのジュニアなポジションが一般的です。一部高求職もありますが、一般的には上記の給与レンジのように専門職の若手ポジション・給与であることが一般的です。

総支給額上位10職と主要職種

上記Report on Wages in Singaporeから、総支給額上位10職と日本人に関わりそうな職種を抜粋しました。

職種 総支給額
MD/CEO $16684
トレードブローカー(オイル&ブンカー油トレード含む) $12408
ダイレクター $11495
外国為替トレーダー/ブローカー $11000
コモディティデリバティブトレーダー $10936
大学講師 $10918
船舶ブローカー $10000
COO/GM $9800
ソフトウェア&アプリケーションマネージャー $9174
法律家(法廷弁護士&事務弁護士を除く) $8400
ファイナンシャル/投資アドバイザー $8333
法廷弁護士&事務弁護士 $8200
一般開業医/一般医 $8196
研究&開発マネージャー $8045
ITサービスマネージャー $7830
CIO/CTO $7181
財務マネージャー $7124
経理マネージャー $6700
ITプロジェクトマネージャー $6570
ビジネスデベロップメントマネージャー $6500
人事マネージャー $6200
購買マネージャー $6025
製造工場長 $6005
カスタマーサービスマネージャー $5775
セールス&マーケティングマネージャー $5773
ファンドマネージャー $5746
マーケティング&営業(金融商品営業) $5644
経営&ビジネスコンサルタント $5576
マーケティング&営業(情報通信) $5225
チーフ料理人 $5038
ファイナンシャルアナリスト $5000
ソフトウェアデベロッパー $4740
マーケティング&営業(医療) $4381
薬剤師 $4632
会計士 $4347
マーケティング&営業(製造) $3587
秘書 $3250
シェフ $2863
カスタマーサービス $2801
旅行代理店販売員 $2150
一般事務職 $1840
ウェイター $1313

これを見ると、各給料を得るのに必要な職種が分かります。
月収$1万以上: ディレクター、金融専門職
月収$6000~$8000: マネージャー
月収$5000: 営業、IT等エンジニア
月収$3500: 秘書

日本人/日本語求人の賃金傾向

日本人/日本語求人とシンガポール求人の労働市場の乖離:

上記MOMの資料は、シンガポール全体の統計です。そのため、下記に詳細するように、日本人/日本語求人の労働市場とは乖離があります。
また、例えばソフトウェアデベロッパーと一口に言っても、SIでの下請けから金融まで幅が広いものもあります。営業も同様で、職域と給与の幅は広いです。そのため、上記統計では粗すぎます。最終的にご自身の職種でのSGでの給与相場を知るためには、人材会社で相談、内定後の給与提示から推し量る必要があります。

最低給与が高い:

エントリーポジションでの日本人の給与相場の下限は、日本より安いのですが、シンガポールの労働市場平均より高いです。
日本人がSGで働くにはPR(永住権)とDP(扶養家族ビザ)もありますが、就労ビザのEPかS Passが一般的です。一般的に、就労ビザ取得には$3000の基本月給が必要で、本人の学歴と年齢によって更に上載せが必要です。これにより、日本人/日本語求人の最低給与がSG労働市場より底上げされている現象が生まれています。
例えば、これで恩恵を受けているのは、一般事務職です。SG全体での一般事務職の月給は$1840ですが、日本人/日本語求人であればS Passでの$3000が相場です。しかし、一般事務職に$3000を支払う余裕がなく、また年齢/学歴によって$4000が就労ビザ取得に必要となるため、給与制限がないPR/DPのみを対象に採用する求人が増えてきています。なお、日本人向けの一般事務職でも、ある程度、英語を使った日本語⇔英語のやりとりや、秘書・営業事務も含まれることが多く、シンガポールでの一般事務職より業務範囲が広いのは確かです。
日本人向け日本食レストランは、ウェイターにも日本人が好まれます。しかし、就労ビザ取得に必要な給与を提示できず、PR/DPでウェイターに興味をもつ人は少なく採用困難なため、違法な給与キックバックを採用前提にする店舗が、日本人雇用でも増えてきていると言われています。給与キックバックの詳細は下記に記しています。
シンガポールビザ:違法就労の落とし穴

マネージャー以上の求人が滅多に無い:

日本人/日本語求人の傾向は底が広く真ん中以上がほとんど無いことです。日本人/日本語求人では、あってもシニア専門職の求人どまりで、マネージャー以上の求人は滅多にありません。これは、日系企業であればマネージャー以上は駐在員か、外資ではローカル人材が占めているためです。そのため、日本でこのポジションの方のシンガポールでの職探しは一筋縄ではいかないです。
ポジションの数だけでなく、給与にも影響しています。日本人はたとえローカルパッケージの現地採用であっても現地人材より高い給与を期待しますが、ビザの足かせがないシニア専門職以上では、現地人材より給与が安価になる"逆転現象"が発生しています。これは日本人求人では、語学力や現地マネージメントに弱いことから、「日本人は日本語/日本人求人以外には求職できない」足元を見られている現象です。これが日本人現地採用ではEP P1が少ない理由の一つでもあります。
このガラスの天井を破るには、語学力も含め日本語求人を突き抜ける必要があります。日系企業でなく外資に勤め、日系企業や日本人や日本市場を相手にした仕事から、アジア全域を担当できる業務領域への対応です。そこにたどり着けば$1万の業務が射程に入ってきますが、日本人メリットを活かせずむしろ日本人がデメリットとなるこの世界に到達できる日本人はほんの一握りです。
日本人現地採用者にキャリアパスが無いこの状況は、下記に詳細しています。
海外現地採用者は日本本社駐在員の下僕なのか?

会計士

公認会計士がプレミアムな職とみなされているのは、日本特有のガラパゴス現象です。日本では公認会計士試験が難しいことから、医師・弁護士・会計士と士業の一角を占めていますが、海外では公認会計士(USCPAやACCA等)にプレミアムはありません。会計/経理/監査をする専門職が持っている資格の位置づけです。給与からもそれが分かるように、会計士の平均月給は$4347です。アソシエイト会計士は月給$3000と、秘書より安くなります。


※本ブログの記述は、筆者の調査・経験に基づきます。記述が正確、最新であることは保証しません。記載に起因する、いかなる結果にも筆者は責任を持ちません。記載内容への判断は自己責任でお願いいたします。
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