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今日もシンガポールまみれ

日本のあっち、シンガポールのこっち

シンガポール移住での節税効果と収入別暮らし向き

海外移住 シンガポールライフハック

やすい、安い、と言われるシンガポール (SG) の税金。税には個人に関するものと法人に関するものがありますが、今回は個人に関してです。

日本にあってシンガポールに無い税金

日本にあってシンガポールにない主要な税金は、キャピタルゲイン課税、住民税、贈与税、相続税でしょう。

・キャピタルゲイン課税

株や不動産などの値上がり益 (益金) に対する課税はありません。同様に資本取引から生じたキャピタルロスも税務計算に於ける損金(費用)となりません。なので、例えば、FXトレーダーにはウハウハな国になりますが、日本のFX業者を含む大半の金融機関は日本住所でないと口座を開いてくれないので、日本外業者を探すことになります。また、トレードを本業でする場合には、法人設立し法人税の納付が一般的です。

・住民税

住民税は地方税ですが、東京23区と同程度の面積しか無いシンガポールに、地方はありません。
日本では、10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)がかかります。

・相続税

シンガポールでは相続税は2008年に廃止されました。
日本では、遺産額から基礎控除額「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」を差し引いた課税標準の金額に、10%~50%の税率がかかります。最高税率の50%が適応されるのは、課税標準3億円を超えた際です。
国税庁: 相続税の税率

・贈与税

シンガポールに贈与税はありません。
日本では110万円を超える贈与には、10%~50%で金額により累進課税されます。課税価格が1千万円を超えると、最高税率の50%になります。
国税庁: 贈与税の計算と税率(暦年課税)

SGに移住した日本人が負担する税金

最も影響するのはGSTと所得税でしょう。

GST (Goods and Service Tax)

GSTは日本の消費税に相当するものです。7%なので、日本の5%より高いです。
シンガポールでは原則内税表記で、税込金額が表示されます。レストランでは外税表記で、メニューの値段に10%のサービス料と、そこからさらに7%のGSTがかかるのが一般的です。つまり、

1 (メニューの値段) × 1.1 (サービス料) × 1.07 (GST) = 17.7%

が加算され、メニューの値段より2割近く増えます。日本ではサービス料をとるのはホテルや高級レストランが多いですが、SGでは普段使いのショッピングモールに入っているようなカジュアルなレストランでも請求します。ファーストフードのような自分で配膳する所以外では、サービス料が加算されるのが一般的です。
ホーカーやフードコートではサービス料もGSTも請求されません。これはGSTの納税対象業者が$100万以上のため、個人経営者のホーカーやフードコート事業者はGST納税対象外だからです。

Personal Income Tax (所得税)

日本では所得金額が1800万円超で最高税率50%(40%所得税+10%住民税)に達します。
SGでは、所得金額が最高税率の32万ドル(2560万円)でも、20%のみです。
シンガポール、日本、どちらも累進課税です。なので、所得レンジに該当する税率が適応されるのに注意下さい。例えば、日本で所得300万円といっても、税率10%が適応されて税額30万円とはならないです。最初の195万円までは税率5%で、次の195万円から300万円の105万円が10%、つまり195 × 0.05 + (300-195) × 0.1 = 9.75 + 10.5 = 20.25万円が税額です。

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IRAS: Income tax rates

国税庁: No.2260 所得税の税率

収入別 所得税: 現地採用者、駐在員、外資証券・自営業者

現地採用者、上場企業サラリーマン、外資証券(フロント)・成功している経営者を想定した年収で、どの程度日本とSGとで給与・手取りに差がつくのか想定します。
これまで$1が65円だった頃は、同一ポジションであれば日本とSGの収入差はで4割減、というのが相場でした。しかし今は円安進行で$1が$80となり、収入差は2割減にまで差は縮まっています。もちろん、給与が良いのは日本です。
※社会保険料計算 給与手取り額シュミレーションツールサイト
※介護保険対象外の40歳未満。東京都在住者を前提とする。
※住民税を計算するのに、調整控除・均等割は考慮していません。
※ボーナス月での社会保険の増加は考慮していません。
※私の計算手順を知りたい人は、本記事のHTMLソースを見て下さい。

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・現地採用者の想定ケース

日本では、年収350万円(月収25万円他ボーナス)、独身、子供無しと計算します。

・駐在員の想定ケース

日本では、年収800万円(月給50万円他ボーナス)、専業主婦、子供二人と計算します。

・外資証券・自営業者の想定ケース

日本では、年収2500万円(月給120万円)、専業主婦、子供二人、と計算します。
※自営では国民年金と国民保険ですが、負担の差は考慮していません。

所感: 高いと言われる日本の税ですが、現地採用者と駐在員を想定した日本の収入レベルでは、実は税は大した額を払っていないことが分かります。駐在員を想定した年収800万円への所得税には30万円と、収入の4%未満。しかもここから更に住宅ローン減税やらで差し引かれ、大した金額を払っていない世帯がほとんどでしょう。それらの家庭に圧迫感があるのは社会保険費です。1割を超えておりキツイと感じるでしょう。
所得の多い外資金融(フロント)や成功している自営の世帯では、日本の生活はやはり重税感がぎっしりです。稼いだ半分が持っていかれては、やってられません。

同じポジションでのSGでの手取りは?

それぞれのポジションで得られるSGでの収入と税は幾らか、計算してみましょう。シンガポールの国税局 (IRAS) が税計算のExcelファイルを公開しています。
IRAS: Income Tax Calculator for Tax Resident Individuals

社会保険

雇用保険:

SGでは、公的な雇用保険は存在しません。

健康保険:

健康保険はSGではEP保持者は原則自己負担です。駐在員は大半の場合、勤務先負担です。S Passは勤務先負担が義務ですが、保険対象は入院・手術中心のもので保障は不足しているはずです。

年金:

永住権保持者 (PR) にならないとSGでの公的年金 (CPF) には加入できないため、日本での国民年金 (年間176,700円 = $2,200) への支払い継続が選択肢になります。また、国民年金のみでは、サラリーマンで加入していた国民年金+厚生年金の"二階建て"構造での厚生年金部分を欠くため、国民年金基金への加入が必要になります。掛け金は、加入年齢・保障内容により異なりますが、30歳加入で3万円/月が必要になり、年額36万円 = $4,500 が必要です。日本との対比が目的のため、SG給与は国民年金・国民年金基金で計算します。
日本年金機構: 国民年金前納割引制度|口座振替 前納1年度分
国民年金基金: 掛金一覧

※国民年金基金は海外転出により資格喪失となりますが、日本在住時の厚生年金相当分への金額計算として、ここでは利用します。
※国民年金や国民年金基金の妥当性・信頼性等については本記事では考慮しません。

 

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現地採用者で一番多いのが、月給$3000から$5000で働いている層です。私の感覚的なものですが、駐在員を除く日本人現地採用者で7, 8割程度はこの給与レンジに入っていると思われます。
月給が$3,000台だと、新卒・第二新卒・該当職務経験が3年前後未満のジュニアポジションで、労働ビザもEP Q1になるケースとS Passになるケースです。EPかS Passかは給与に加え、年齢・出身大学・勤務先等の属性によります。EPやS Passといった労働ビザ種別、発行可否については、こちらも参照下さい。5年~10年程度の経験が評価されるシニアポジションでは、部下を持たないまでも、月給が$5,000前後になります。
AWS (Annual Wage Supplement) とは毎年12月に払われる年度末ボーナスで、月給の一ヶ月分相当が払われる、SGの慣習です。AWSが無い雇用契約もあります。

現地採用者ジュニアポジション (独身、子供無し) EP Q1/S Pass:

年収$42,000 の場合 (月給$3000、AWS$3000、ボーナス$3000)

$1を65円で計算: 納税$434、手取りが$41,566(270万円)。日本の国民年金・国民年金基金に536,700円納付して、差し引き219万円、最終手取り率は80%。
$1を80円で計算: 納税$434、手取りが$41,566(333万円)、日本の年金を納付して、手取り279万円、最終手取り率は83%。

暮らし向き: 日本での年収350万円は、手取り284万円で手取り率81%なので、SG物価と通常自己負担の健康保険を考慮しなければ、最近の円安で日本と同等の貨幣価値と手取り率になっています。
年金を考慮しなければ、一見手取り率が99%と高く見えるが、年金納付後は83%にまで落ちます。国民年金は一律定額、国民年金基金は所得額でなく保障の厚さで掛け金が決まるため、低収入者は年金への支出率が高い。

この給与レンジでは一年おきにあるビザ更新のたびに、更新が却下されSGに滞在できなくなる不安を抱えての生活になります。SGでビザが発行されるギリギリの$3000のポジションは、日本での給与4割減の相場から底上げされています。これは、ビザ取得に最低限必要な$3000以上を出すために恣意的に給与相場が上昇したものです。去年以前は$2500が相場のポジションでした。
経済的にも、日本在住時より苦しいと感じるでしょう。円安になっても、SG内での物価は変わりません。部屋借りの家賃$1,000前後を支出した残りでやっていかねばならず、貯金をするには交際費と和食を苦労して制限する必要があります。ホーカーの食事を物珍しく喜んで食べられるのも最初の三ヶ月から半年程度、その後は油の多さに疲れ、食事に飽きがきます。自炊しようにも、フラットシェアだと自炊自体が禁止されていたり、和食食材が高く近所のローカルスーパーで手に入らなかったりします。シンガポリアンがしているように親元に居住し、生活費を節約する手段もとれません。所得不足でクレジットカードを持てないことがあり、デビットカード(NETS)を利用することになります。

現地採用者シニアポジション (独身、子供無し) EP P2:

年収 $70,000 の場合 (月給$5000、AWS$5000、ボーナス$5000)

$1を65円で計算: 納税$1,806、手取りが$68,194(443万円)。日本の国民年金・国民年金基金に536,700円納付して、差し引き390万円、手取り率は86%。
$1を80円で計算: 納税$1,806、手取りが$68,194(546万円)、日本の年金を納付して、手取り492万円、最終手取り率は88%。

暮らし向き: ビザ更新に不安を持つことはそれほどなくなります。住居をグレードアップさせなければ、生活のカツカツ感はなくなりますが、フラットシェアから抜け出すことはまず無理でしょう。和食もそれほど節制せずに食べにいけ、高級店でなければやっと食に渇望しなくなるでしょう。貯金は多少できるようになりますが、贅沢には程遠いです。車の所有は無理でしょう。

 

駐在員:

駐在員の駐在先税金計算は、働く側にとって無意味です。なぜなら、一般的に駐在員の駐在先での税を払うのは、従業員でなく勤務先だからです。駐在員は、日本でもらっていた日本物価での給料が保証された上で、駐在手当・賃貸・車・現地健康保険・一時帰国費といった諸々の手厚い福利厚生をプラスして受けており、それらの福利厚生が手厚いが故に、駐在先で税を自己負担すると税額が膨れ上がり、駐在員が耐え切れないためです。
これに加え、日本での年金維持のために、給与は日本所属先と駐在先とで分割してもらっているケースが一般的です。駐在員や駐在員福利厚生については、こちらの記事も参照下さい。
ですので、代わりに現地採用者のマネージャークラスを例にします。SGだと現地採用ではマネージャーでも日本人なら独身が多いので、独身で計算します。

現地採用者マネージャー (独身、子供無し) EP P1:

年収 $112,000 の場合 (月給$8000、AWS$8000、ボーナス$8000)

$1を65円で計算: 納税$5,415、手取りが$106,585(693万円)。日本の国民年金・国民年金基金に536,700円納付して、差し引き639万円、最終手取り率は88%。
$1を80円で計算: 納税$5,415、手取りが$106,585(853万円)。日本の年金を納付して、差し引き799万円、最終手取り率は89%。

暮らし向き: 日本人現地採用者で基本給$8,000以上が必要なEP P1を持っているのは、現地採用者の中では数%以下と思われ、EP P1所持者の大半は駐在員です。日本での年収800万円の手取り率81%より、手取り率は高いのですが、日本よりはるかに高額な住居費・車をどうコントロールするかで経済感覚は異なります。賃貸の部屋借り(フラットシェア)からの脱出も可能ですが、コンドStudio(ワンルーム)で$3,000、HDBで$2,000するので油断は禁物です。住宅購入には、中古でも100万ドル超するコンドの購入には念入りな計画が必要で、PRを取得して結婚し中古HDB購入を目指すことになるでしょう。ギリギリ専業主婦と子供を養える収入ですが、メイドをいれて夫婦共稼ぎでの所得向上が無難です。子供をインターナショナルスクールや留学させるには相当なやりくりが必要です。

外資金融、自営業者 (専業主婦、子供2人) EP P1:

年収 $300,000 の場合

$1を65円で計算: 納税$35,270、手取りが$264,730(1,720万円)。日本の国民年金・国民年金基金に本人と配偶者の二人分1,073,400円納付して、差し引き1,1613万円、最終手取り率は83%。
$1を80円で計算: 納税$35,270、手取りが$264,730(2,118万円)。日本の年金を本人と配偶者の二人分納付して、差し引き2,1010万円、最終手取り率は84%。

暮らし向き: シンガポールでの生活から"日本との違い"ではなく、ベネフィットを受けることができる層が、手厚い福利厚生を持つ大企業駐在員に加え、この外資金融(フロント)と成功している自営業の層になります。
SGでの低税率の恩恵を圧倒的に受けます。日本では手取りが66%しかなかったのが、84%にドンと改善します。子供をインターナショナルスクールで就学させ、留学させることが可能です。贅沢もできますが、SGでは億ションを買っても家族で住める広さと小奇麗さには物足りない住環境で、車もSGで一番売れているモデルはベンツC180ですが、その値段が17.9万ドル(1,440万円)する国です。フローのみでストックに乏しい状態だと、油断すると家計に火がつきます。更なる金持ちがそこらにいるのがシンガポールです。

シンガポールの税に関する諸々

税には例外・特記や時限のものが山のようにあります。SGの税は日本と比べると遥かにシンプルですが、それでもあります。主だったものを記しますが、詳細やこれ以外の内容はご自身の責任で調査・判断下さい。

2013年の税リベート: Personal Income Tax rebate

2013年は税のリベート(払い戻し)が30%も あります。上述例の計算はリベートを反映済みの税額にしています。なんとこれは外国人も対象の大盤振る舞い。税金が安いシンガポールが、それでも儲かって たまらないので、返金ボーナスです。というか、COE(車のナンバープレート)と不動産購入時の印紙税で収入増えすぎたので、それの返還でしょうが。この リベートは$1500が上限で、60歳未満なら所得税の30%、60歳以上なら50%。
残念なことに、2014年は税リベートはありません。

IRAS: Personal tax rebate (for YA 2013)

居住者・非居住者の違いによる税の違い

居住者と非居住者の定義は、183日ルールによる。SGに183日以上滞在していると居住者、未満だと非居住者扱い。

  • 居住者の課税対象:SG国内源泉所得、および国外源泉所得でSGに送金されたもの
  • 非居住者の所得税:居住者と同じ累進税率か、15%か、どちらか大きいほうが適用。つまり年間課税所得$12万未満なら15%、$12万以上なら累進税率適応。
  • 非居住者の課税対象:SG国内源泉所得のみ
  • 非居住者(SG滞在60日以下):SG国内源泉給与所得は免税

Stamp Duty (印紙税)

外国人は、すべての不動産購入に15%のStamp Duty納付が必要です。
PR(永住権保持者)は、一軒目の不動産には5%、二軒目以降は10%のStamp Duty納付が必要です。
シンガポール市民は、一軒目の不動産には無税、二軒目には7%、三軒目以降には10%のStamp Duty納付が必要です。
IRAS: Additional Buyer Stamp Duty on Purchase of Residential Properties

Property Tax (固定資産税)

 累進課税です。オーナーが住んでいるか、投資物件扱いとなるオーナー非居住かで、税額が異なります。2014年、2015年と続いて、不動産価格沈静化のための増税が予定されています。

オーナー居住物件: (2013年)

不動産への年間評価額
最初の$6000:         0%
$6001~$65000:    4%
$65001~:               6%

オーナー非居住物件: (2013年)

不動産への年間評価額の10%


オーナー居住物件2014年2015年以降オーナー非居住物件2014年2015年以降
最初の$8,000 0% 0% 最初の$30,000 10% 10%
$8,001~$55,00 4% 4% $30,000~$45,000 11% 12%
$55,000~$60,000 5% 6% $45,001~$60,000 13% 14%
$60,001~$70,000 6% 6% $60,001~$75,000 15% 16%
$70,001~$85,000 7% 8% $75,001~$90,000 17% 18%
$85,001~$90,000 9% 10% $90,001~ 19% 20%
$90,001~$105,000 11% 12%
$105,001~$103,000 13% 14%
$130,000~ 15% 16%

※土地付き家宅への税率は異なります

IRAS: Property Tax Rates

 

 

※本記事を利用・参照にしたことでの一切の結果に責任を負いません。すべて自己責任でご判断下さい。

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