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「シンガポールの外国人家政婦、60%が雇用主から搾取被害」という調査への政府反応

シンガポールウォッチャーのうにうにです。
以前、シンガポールの住み込み外国人家政婦の記事を書きました。外国人家政婦は、一般的にメイドと当地で呼ばれています。
uniunichan.hatenablog.com

2017年11月に、メイドの労働環境をめぐって、オーストラリアの民間コンサルティング機関「リサーチ・アクロス・ボーダーズ」が「約60%は雇用主に搾取されている」との調査報告を発表し、CNNなども取り上げました。

パヤレバ駅、シティプラザモール、ラッキープラザモールでのフィリピン人とインドネシア人の735人が調査対象です。フィリピンの言語であるタガログと、インドネシアのバハサを使い、2015年9月に調査が行われています。調査対象になったメイドから51人と、80人の雇用主が、詳細なインタビューの対象になりました。

レポートの要約

レポートのエグゼクティブ・サマリーから主要部分を抜粋します。

  • 33%のメイドは、国際労働機関 (ILO) 基準で問題がなかった。
  • 60%のメイドは搾取と特定される。そのうち23%は強制労働 (forced labour) の被害者と特定される。10%は、嘘や強制による人身売買と特定される。
  • シンガポールには24万3千人のメイドがいるため、14万5千人が搾取下にあると推定される。そのうち、5万5千人は強制労働の被害者で、2万4千人は人身売買である。
  • 搾取の特徴は、シンガポールの法律で日用生活品や食事は雇用主が提供すべきだが、それらが提供されないことだ。
  • メイド雇用主とシンガポール政府の間に加えて、雇用主、メイドの母国の斡旋業者、シンガポールの雇用主の斡旋業者とメイドとの間に、経済的な従属が存在する。様々な借金での拘束があることで、メイドの給料から借金から天引きされ、母国での平均給与より低い経済的な苦境に陥る。
  • メイド搾取の緩和の提案: メイド雇用主の67%は(現状の住み込みでなく)通いでの選択肢にポジティブだった。また、雇用主の政府へのメイド雇用保証金と、メイドの仕事を超えた責任を雇用主が認識している関連性があり、雇用保証金を廃止すること。

※筆者注:シンガポールの斡旋業者の費用は雇用主が払い、メイド母国での斡旋業者の費用はメイドが払うのが、シンガポールでの慣行です。母国での斡旋業者に支払いが存在する際には、雇用主が建て替えて、数ヶ月間の給与はほぼ無給になります。母国での斡旋業者への支払い総額は法律で2ヶ月が最大です。シンガポール行きの渡航費などを含めると、無給期間が半年に及ぶこともあります。天引きがある期間は、当然に、母国の平均給与より給与が安くなり、レポートはそれを指摘しています。

60%もが搾取されているとは具体的に?

シンガポール人も、シンガポールで働いている日本人も雇用主側なので、60%も搾取があるとは実感はないと思われます。
レポート(68ページ)で指摘されている搾取の具体例です。これらに2つ該当するメイドは搾取されており、60%だったという判定基準です。この基準では40%が搾取ではないとなっていますが、どれにも当てはまらないメイドは4%しかいなかったとのことです。

具体例 私の解説 割合
超過労働
12時間以上の労働時間 家政婦は待機時間と実労働時間のギャップが大きいのが特徴 84%
週一の休みがない シンガポールでは割増給与で休みを取り消すことができます 58%
休みの日の労働 シンガポールでは割増給与で休みを取り消すことができます 41%
悪生活環境
鍵をかけて寝る場所が提供されない 30%
自室などプライベートな場所に監視カメラ設置 8%
不適切な就寝場所 7%
給与
給料が安い 本レポートでは母国平均給より安いものが該当 25%
休暇の日に働いても割増賃金がない 11%
給料がない 2%
危険労働
一人でするには困難な作業 7%
危険な作業 5%
品位がない仕事 3%
賃金操作
雇用主が不法な給与天引きをする 4%
雇用主が不法に給与支払いを拒絶 4%
労働関係法や契約書への遵法がない
サインの前に契約書を読むことを認めない 6%
契約書にサインをしていない 1%

CNN日本語版の誤訳

CNNの記事には、

  1. 誤訳 (英文記事から日本語記事に翻訳した際に誤りが発生)
  2. 事実誤認 (英文記事時点で間違いが発生しており、日本語記事にも誤りが継続している)
  3. 補足説明 (記事の事実関係は正しいが、情報不足のため誤解を招く可能性がある)

への言及が必要です。
CNN日本語版は、CNN英語版を訳したものですが、誤訳が含まれています。英日両文を併記し、訂正します。

調査対象者の平均月収は381ドル(約4万2000円)。食費や家賃が含まれていることが多く、これらを差し引くと158ドルしか残らない。平均的なシンガポール人の月収は2013年のデータで3694ドルなので、家政婦はその1割程度しかない。
According to the report's findings, the average monthly income of the workers interviewed was $381 (S$515) a month, often including meals and board, reduced to a net income of $158 (S$225) if they send money home to their families.

CNN英文記事の訳には以下が適切なはずです。
「調査結果によると、家政婦の平均月収は381米ドル(515シンガポールドル)であり、しばしばこの金額には食事や住居が含まれている。家族に仕送りを行っている場合には、手元に残るのは158米ドル(225シンガポールドル)になる。」
CNN日本語訳では、額面給与と手元に残る給与の差分は、(仕送りではなく)食費や家賃の支払いと誤って書かれており、全く意味合いが変わり致命的な誤訳になっています。

この誤訳を招いた原因としては、CNN英語版にある下記の記述を、まとめて書いたためと思われますが、誤訳は誤訳です。
More than a third of domestic workers were also forced to pay for necessities, such as food and soap, despite government guidelines saying they were not supposed to be. (私の訳をつけます 「家政婦の1/3以上が、食事や石鹸のような生活必需品を払うように強いられているが、政府ガイドラインでは払わせるべきでないことになっている」)

上記内容に補足説明をします。シンガポールの制度でメイドは、衣食住・医療費・外国人雇用税は、全て雇用主負担です。そのため、雇用主がメイドに支払う給料は、全額がメイドの手取りになります。ですので、問題になるのは、「本来支払う必要がない日常生活品などの支出を強いられているメイドが、どれだけの割合いて、どれだけの金額を支払っているか」になるはずですが、そこにはCNNでは言及ありません。

2013年にシンガポールの平均収入は3,694米ドルとのことですが、収入統計は平均値より中央値が好ましいです。平均値を使うと一部富裕層が押し上げるため実態との乖離が大きくなるためです。また、出所がILOですが、シンガポール政府が中央値の給与を発表しています。2013年は3,705シンガポールドル(2,962米ドル)、最新の2017年は4,232シンガポールドル(3,066米ドル)です。

CNN英語版での事実誤認

CNN記事には事実誤認が含まれています。CNN英語版の記事から事実誤認があるため、日本語記事にも誤った内容で訳されています。

フィリピンやインドネシア出身の若い女性らが住み込みで家事や子どもの世話をする仕事に就いている (略)
当局に登録されている外国人家政婦の人数はアジアで香港が最も多く、シンガポールは第2位。同国では3世帯に1世帯が家政婦を雇っている計算だ。家政婦は労働人口の17%を占める。
In Asia, Singapore is second only to Hong Kong for having the largest number of documented foreign domestic workers employed in their country, typically young women from Indonesia and the Philippines.
Domestic workers make up 17% of Singapore's total workforce, according to the report, with an estimated one in three households relying on them for housekeeping and caring duties.

シンガポールでメイド用の就労ビザの発給は、2017年6月時点で24万3千です。

シンガポール総労働者数は367万人です(2016年)。つまり、メイドは労働人口の(17%ではなく)7%です。

17%というのは、総労働人口ではなく、(永住者を除く)外国人労働者数137万人に対するメイドの割合です。

シンガポールの総世帯数は126万(2016年)。メイドを複数人雇用している家庭もありますが、1世帯1人と仮定します。すると、メイドの雇用世帯は約20%であって、(記事に記載の3世帯に1世帯ではなく)5世帯に1世帯の雇用率となります。

なお、「若い女性」と書いていますが、20歳代前半で未婚のメイドは多くありません。メイド用のビザは23歳以上であれば発給対象です。ですが、メイドは育児を中心に、家事・介護が必要な家庭で雇用されているためです。育児目的には、自分の子育て経験がない未婚女性は、避けられます。また、不要なトラブルを避けるために、家庭内に独身女性がいることを避けたい傾向が後押しします。雇用主の留守中に「メイドが恋人を連れ込んで」というのは、悪評の一つです。

CNN英語版への補足説明

記述は事実なのですが、情報が不完全のため、誤解が生じる可能性があるものに、捕捉説明をします。

対象者の3分の1は、家族で唯一の稼ぎ手だったという。働いて仕送りしなければ、家族が食べていけない状況だ。
"These women mainly endure these situations out of economic stresses ... in one third of the cases in our study, the worker was the only bread winner in their family, which means if they do not work and send money back home, they will threaten the survival of their family," she said.

シンガポールでメイドのビザの性別は女性に限定されています。つまり、CNNの記述が正しければ、「夫が働けない、働いていない、夫がいない家庭」が1/3も占めている、ということです。これは極めて高い数値です。夫が病気・怪我などの事情で働けない、離婚や死別で夫がいない、というのが少なからず含まれているのでしょうが、それより「夫に勤労意欲がない」「夫に仕事がない」家庭が日本人の一般感覚より多いことが想定されます。メイドが母国の働かない家族に仕送りを続けるのも、よく聞く話の一つです。

最低賃金の規定はなく、労働時間の指針は「妥当な仕事量」に抑えるとの表現にとどまっている。
Unlike Hong Kong, Singapore doesn't guarantee a minimum wage for maids and guidelines on working hours only call for a "reasonable workload."

家事労働で問題になるのは、拘束時間と実労働時間の乖離です。
例えば、メイドが朝6時に起床し、朝食作りから始まり、昼は掃除洗濯、子どもの世話や遊び相手になり、夜は晩御飯の片付けまでして、午後8時に労働終了すると、拘束時間は14時間にもなります。しかし、特に昼間に働き通しであることは考えにくいです。実労働時間は14時間の半分もないでしょう。
シンガポールではこの乖離の大きさを理由の一つに、「妥当な仕事量」に抑えるとの内容になっています。日本でも家事使用人は労働基準法の適用外です。
しかしながら、家事労働であっても、その"特殊性"を考慮せず、他の労働と同じように拘束時間で測られるべきという風潮に世界は向かいつつあります。日本でもシンガポールでも、通いの家政婦・メイドであれば、拘束時間に対して支払われるのが一般的です。


以上のように、今回のCNN記事は、シンガポールの環境へも、家政婦へも、理解不十分で書かれているという前提で読んで下さい。

シンガポール国内報道

シンガポールは、言論の自由に制限があります。国境なき記者団が発表している「2018年世界報道自由度ランキング」では、シンガポールは180カ国中151位となっています。
しかしながら、これは居住民である私の感覚では「そこまでひどくない」「相対比較でもっとひどい国は多くある」というものです。シンガポールは英語圏なので、海外報道に触れるのが容易ということもありますが、それだけではありません。シンガポールに住んでいると政府に都合が悪い内容も国内で報道されていることを、しばしば目にします。言論の自由への制限の目的は、多民族・宗教へのヘイトスピーチでの民族紛争を避けることが、名目だからです。とはいっても、その延長で政府批判へのメディアの自己検閲や、民事であっても破産に追い込まれる政治家からの多額の名誉毀損訴訟もあります。

今回の「リサーチ・アクロス・ボーダーズ」の調査については、最大手新聞のストレイツ・タイムズは私には見つけられませんでしたが、テレビ局のチャネル・ニュース・アジア (CNA) が「シンガポールのメイドの10人中6人が搾取されている」というタイトルで、粗悪な住環境・長時間労働、給与の控除、暴力について、報道しています。

シンガポール政府の反応

「メイドの大半は雇用主に搾取されており、5人に1人以上が強制労働を強いられている」との調査結果を、シンガポール労働省 (MOM) は酷評しました。シンガポール最有力紙ストレイツ・タイムズなどが報道しています。

シンガポールのメイド雇用において誤解されやすい状況を描いており、労働搾取の単純化しすぎた解釈をとっていると、政府は反論しています。
リサーチ・アクロス・ボーダーズの結論は、「奴隷労働が体系的に可能になっている」としており、これは国連の専門機関である国際労働機関 ILO が定義した搾取と強制労働の定義によるとしています。ILO定義では、労働と生活の過酷な環境の組み合わが搾取となると調査は延べています。働かなかったことへの罰や、他の形態でも抑圧が雇用主からあれば、強制労働と位置づけられます。10%のメイドは、仕事を見つける過程において、騙されたか強制されたかで、人身売買と特定されるとリサーチ・アクロス・ボーダーズは主張しています。
しかし、シンガポール労働省 MOM は「指標を解釈する際に、メイドの特有の性質が考慮されていない」と調査が指摘している搾取に同意していません。例として、メイドの仕事と個人の時間を分けることが容易ではないことをあげています。メイドに家の鍵を与えず、家を離れるのに許可を必要とするものは、「隔離」や「監禁」と考えるべきではないとシンガポール労働省は言っています。
リサーチ・アクロス・ボーダーズの研究員は、シンガポール労働省の指摘であるメイドの仕事の独自性を認めてはいますが、その独自性こそが「問題の本質」だと論じています。仕事と私生活の線引が曖昧だからです。メイドが脆弱なのは、シンガポールでのメイドの労働環境の体系的な性質と、労働規制と法律保護が不適切であることを意味していると、レポートは描いています。また、メイドと雇用主との間での力関係が極めて不公平であるとも述べています。外国人人材雇用法(EFMA)の対象ですが、雇用法 (EA) ではメイドが除外されていることを加えています。シンガポールに来る際に抱えるメイドの借金が、給料から天引きされることが、「母国の平均給与より低い平均給与に、メイドを深刻な経済困窮におく」と結論づけています。
シンガポール労働省の反論は、「外国人人材雇用法(EFMA)において、給与の即時払い、食事の提供、休日か休日への補償、住居、威容、安全な労働環境の提供がメイドに保証されている。」「これらは法律であってガイドラインではない。法に違反した場合には、罰金・禁固また将来のメイド雇用の禁止になりうる」というものです。雇用主がメイドに罪を犯せば、通常より1.5倍に罰則が強化される内容が、シンガポールの刑法にあります。
また、2015年にメイド千人に対しておこなった調査結果で、97%がシンガポールでの労働に満足しており、同じ割合の人が労働負荷は適切かもっと働けるというものだったと、シンガポール労働省は引用しています。リサーチ・アクロス・ボーダーズの調査結果は、メイド関連の他のボランティア福祉団体の経験とも相違があるためです。the Centre for Domestic Employeesが行った予備調査結果では、「メイドの85%以上が、シンガポールで働くことに、安全で、信頼でき、自信がある」と判明しています。同率のメイドが、シンガポールの法律は「公平で、虐待に取り組むのに十分に堅牢」と思っています。正式な調査結果は、2018年に公表されます。
別のメイド支援団体FASTも、自分達の経験と異なるので「困惑している」と語ります。FASTでは月に170件の電話問合せを受けていますが、内訳は、仕事の負荷は10%のみで、他が40%が海外シンガポールへの適応困難について、20%は契約や給与問題で、残りが雑多な問合せとのことです。FASTは、調査対象がフィリピンとインドネシアであって、ミャンマーのような他の国が対象になっていないことを指摘しています。

シンガポールとリサーチ団体での論点整理

論争で整理すべきは、

  • 事実の認識不一致
  • メソドロジーの適切さ
  • 解釈の妥当性

です。今回の件に当てはめると、シンガポール主張とのギャップは下記のようになります。

  • 事実の認識不一致: ミャンマー人メイドが調査対象から欠落。
  • メソドロジーの適切さ: 政府調査結果との差異。ILO基準への異議(例: 雇用主の家の鍵の所有)。
  • 解釈の妥当性: 法律の整備と実際の運用状況の差異(例: 日用品の自腹購入)。


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シンガポールで扶養家族ビザDPで合法にフリーランスをする条件 ~LOCスポンサー企業で可能の真偽~

シンガポールウォッチャーのうにうにです。2012年から書き続けている違法就労についてです。手を変え品を変え、微妙にずらした話がポコポコ湧き上がるので、そのフォロー記事になります。

日本人にとりシンガポールは外国です。外国人の入国は権利ではなく入国管理局の許可に基づきますし、入国後の外国での就労には就労許可が必要です。「外国でカネを稼ぐには現地就労許可がいる」というのは海外居住者にとり常識であるべきですが、常識になっていないない人も、聞いたことはあっても気にしない人もいるのが現状です。
日本など他国で税金を払っていたとしても、税と就労許可は別物なので、シンガポールでの就労許可が必要です。
シンガポールでは、就労ビザで働く人の家族に、扶養ビザのDP (Dependent's Pass)が提供されます。DPが出る大まかな条件は下記です。
■DP発行資格

  • EPかS Passの法的な妻、未婚でかつ21歳以下の子ども
  • EPかS Passの月額固定給与が$6,000以上
  • EPかS Passの勤務先がスポンサーになること
  • MOM: Eligibility for Dependant's Pass

上記は足切りラインです。上記を満たしていても、DPが発行されないことがあります。月額給与が最低額に近い際や、勤務先のシンガポール人雇用比率が小さい際にそうなる可能性が高まります。

シンガポールでの外国人のフリーランス・自営

そのシンガポールにおいて、日本人の扶養家族でDP保持者が、"自己実現"や"お小遣い稼ぎ"のためにあの手この手でフリーランスをしようとする試みがあります。よくあるフリーランスは下記です。

  • お教室、お稽古 (音楽、料理、工芸、スポーツなど)
  • ネイルサロン
  • 旅行ガイド、旅行企画
  • 家庭教師、幼児教育、セミナー講師
  • ライター、ブロガー

セミナー講師については、ビザなし入国者はMOMへの申請だけで可能です。しかし、DPはこの規定を利用できません。

シンガポールでの労働には、就労許可が必要です。また、シンガポールでは、報酬が発生すれば確実に労働ですが、報酬が発生しなくとも労働と認定されることがあります。報酬が発生しない労働の例はインターンシップです。報酬は現金以外にも、物品・サービス・食事・試供品・旅行・交通手段などが含まれます。
その一方、趣味・ボランティアであれば、就労では当然ないので、就労許可は不要です。
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DPの就労許可、LOC

DP所持者は就労許可が簡単におります。DPの就労許可はLOC (Letter of Consent)と呼ばれ、就労先が申請します。
シンガポールで最も取得容易な就労許可です。最低賃金の規定がありません。外国人雇用枠にもしばられません。S PassやWork Permitで必要な雇用税もありません。申請費用が無料という小さな特典もあります。それだけの自由度を持つLOCにも条件があります。LOCには雇用主が必要だということです。つまり、自営・フリーランスにはLOCは発行されません。LOCの発行資格は下記です。

■LOC発行資格

  • EPがスポンサーになっているDPのみ ※S PassがスポンサーになっているDPではLOCは対象外
  • DPの有効期限が3ヶ月以上
  • 雇用主が必要 ※MOMは"you must have a job offer with a Singapore employer"と明記。
  • 少数の職種制限あり ※MOMの説明と具体例は「ダンスホステスのような不快な職業は不可」
  • シンガポール労働省 MOM: Eligibility for Letter of Consent

10年ほど前までは、自営・フリーランスにもLOCが発行されていた時期がありました。外国人就労への国民からの風当たりが強くなり、就労資格の運用が厳格され、最近では自営・フリーランスにはLOCは発行されません。時折、「私はLOCを取得している」と主張するDPのフリーランスがいますが、実際に真っ当な方法で取得したLOCを提示できる人に私は会ったことありません。よくあるのが下記です。

  • 本当はLOCを取得していない。 (これが大半)
  • 「自分の業務に就労許可は不要だから、就労許可を持っている」と主張している。 (謎ロジックですが、います。本当はLOCを取得していない人が追求されると、こう強弁する人がいるのです)
  • LOCを虚偽申告で取得した。 (虚偽申告をした認識が有る人と、無い人がいます)

DPであったとしても、資本金を積んで会社設立し、DPからEPに切り替えるのが自営・フリーランスへの正攻法であり、事実上唯一の道です。DPだからといって、就労許可が簡単にとれる方法は、自営・フリーランスにはありません

LOCスポンサー企業を見つければ、実質フリーランス活動が可能?!という噂の真偽

しかしながら、資本金を積む体力がない自営・フリーランス希望者は多くいます。またたとえ、EPが出たとしても、少額の資本金では有効期限は1年であることが多く、最近はその間に黒字化を達成していないと、1年後のEP更新は困難です。そのため、EP取得以外の手段で、自営・フリーランスを目指す人はいまだに後を絶ちません。

自営・フリーランスを目指す人の中で、最近広まっているのは「LOCスポンサー企業を見つければ、実質フリーランス活動が可能」というものです。スポンサー企業とは、雇用主としてLOC発行を申請してくれる名前貸し企業のことです。LOCは、S PassやWork Permitと違って外国人枠の制限外のため、そこだけを見るとスポンサー企業にデメリットはなさそうなのがミソです。
実質的に雇用関係がないならLOCの不正取得なのですが、形式上でも不正申請がこの取得方法では実は避けられません。ですので脱法ですらなく、違法です。以下に抵触するためです。
(1) LOC申請時の住所で業務をする必要がある
(2) LOC申請時の基本月給を毎月満たす必要がある
(3) フリーランス活動の会計と、スポンサー企業の会計を統合するのはまず不可能

(1) LOC申請時の住所で業務をする必要がある

LOC申請にあたって幾つかの住所を届け出る必要があります。LOC所持者の住所、雇用主の住所、そして業務を行う住所です。雇用主の住所と、業務を行う住所が異なっている場合は、MOMのチェック対象です。ここでチェックされるのは、事業がアウトソースや派遣であるかどうかです。単に、シンガポールに幾つか事業所があって、本社と工場のように住所が異なる場合には、問題ありません。契約企業先に勤務になるアウトソース(請負や業務委託)も大丈夫です。ですが、シンガポールで外国人の派遣には、就労許可が原則おりません。派遣で働けるのは、国民と永住者PRです。(ごく一部の季節要因がある業態では派遣が認められていますが例外です) 外国人を雇うなら直接雇用しろ、という意味です。
※派遣とアウトソースの違いは、指揮命令が雇用主にあるか(アウトソース)、顧客企業にあるか(派遣)です。

フリーランス希望のDPは、LOCの"スポンサー企業"と同じ事業所(住所)での業務にならないはずです。自宅、教室会場、生徒宅でしょう。スポンサー企業の住所と異なる、自分の業務場所を正直に申請すると、アウトソースであるとの確認が入り、応じられないのでLOCは却下されます。"スポンサー企業"の住所を業務場所としてMOMに申告すると、虚偽申告になります。

(2) LOC申請時の基本月給を毎月満たす必要がある

シンガポール労働省MOMにLOC申請時に行った基本月給を、満たす必要が毎月あります。
ここで仮に月$2,000を基本月給として申請したとします。毎月の給与はDPのフリーランス活動から捻出します。たとえ、その月の利益がMOM申請金額を下回っていたとしてもです。DPフリーランス活動での利益が、MOM申請金額を下回っていると、"スポンサー企業"が身銭を切ってDPに申請給与を支払う必要があります。
これは、売上不調時のみでなく、日本への長期一時帰国時といった休暇時も含みます。シンガポールで外国人(EP/S Pass/WP/LOC)が休職するには、勤務先がMOM申請基本月給を支払い続ける必要があり、休職も解決策になりません。またスポンサー企業は、全従業員に労災(Work Injury Compensation Act (WICA) )の提供も必要になります。また、月給S$2,500以下で基本月給を申請すると、雇用法Employment Actの対象になります。残業代・有給・疾病休暇の支給が必要になります。
スポンサー企業はこれらの認識も覚悟もないはずです。これを理解していれば"スポンサー"を受けないはずです。

(3) フリーランス活動の会計と、スポンサー企業の会計を統合するのはまず不可能

上記(1)での基本月給を支払う、というのは具体的にはどう支払うのでしょうか?自分の事業の売上を自分に支払う、では不正確です。自分の事業の売上を、スポンサー企業の会計に取り込んで、スポンサー企業が自分に基本月給を毎月支払う必要があります。基本月給は、毎月、絶対に支払うのが義務です。

"スポンサー企業"と真っ当な会計処理は可能か?

毎月、基本月給を払う真っ当な会計処理をするには以下の方法が考えられます。
A. スポンサー企業が基本月給を払うリスクに同意する
B. フリーランスがスポンサー企業に資本金を出資する
A.は、スポンサー企業は「(好意あるいは何らかのフィーで)名義を貸している」程度の認識しかないのに、自分が損をするリスクを負うことに同意する企業はないでしょう。この時点で破綻します。
B.は、リアリティはないのですが、理論上は不可能ではないです。例えば、基本月給$2,000で申請したので、1年間分の活動費の意味で、$24,000を資本金として出資するということです。LOCはダイレクターに規定上ダイレクターになれない(ならない)ですが、出資ですのでDPは株主になります。スポンサー企業が利益を上げれば株主配当も受けます。単に名前を貸しているだけなのに、面倒な出資手続きを行い、共同出資者になることを想定しているスポンサー企業はないでしょう。また、フリーランスとしても、それだけのまとまった資金を出せないから、真っ当な企業設立での就労ビザ取得ではなく、フリーランスを取りたいのに、満たせる人は少数でしょう。

なお、出資を回避するよくある手段は「自分・親族・知人への"コンサル費用"として入金があったことにして、そこから自分の基本月給を捻出する」(自分から自分への支払いになるので、プラスマイナスゼロで負担がなく帳簿上の数字で済む)というものですが、存在しない行為での売上水増しは典型的な不正会計なので、止めましょう。

違法フリーランスの見分け方

「違法就労には関わりたくない」「違法就労の支援をしたくない」というのはもっともな感情です。違法フリーランスの見分け方です。
1. 法人を確認する
領収書から法人名を知ります。シンガポールに登記されている法人はBizFileで確認できます。
領収書に法人名がなければ、法人成りをしていない個人事業ということです。日本人で法人成りをしていない個人事業主として活動可能なのはPRです。外国人の就労許可は法人と紐付いており、法人名がなければPR以外は違法就労です。
2. 就労許可を確認する
法人名を確認できれば、次に就労許可の確認になります。PRかEPかLOCかになります。DPとS Passは役員にはなれません
PRかEPであればIC (Identity Card: シンガポールの身分証) を確認しましょう。EPには、ICの勤務先が領収書の法人名と一致しているか確認しましょう。EPは、1社目と株式関係にある関連企業の役員(director)に限っては、副業(複数社の兼業)が可能で、その場合にはLOCをMOMが発行します。
LOCはICで確認できないので、LOCの閲覧が必要になります。
3. 職業資格を確認する
例えば、旅行ガイドには就労ビザとは別の業務ライセンスが必要です。
4. URA登録
業務の提供が自宅であれば、URAに自宅への登録がされている必要があります。URA登録を請求しましょう。

上記全てをフリーランスに問い合わせ、回答を得ることは現実的ではないでしょう。できてICの確認ぐらいまででしょう。現実的な対応としては、DPで滞在している人のフリーランス・自営活動には関わらないことです。
EPを取得していないDPでのフリーランス・自営は、まず違法就労です。私は合法に就労されているフリーランス・自営のDPにお会いしたことはありません。


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シンガポールで日本人が合法リモートワークをする3条件~フリーランスは不可~

シンガポールウォッチャーのうにうにです。
最近、日本人コミュニティで急速に広まっているのが「シンガポールに住んでいる外国人が、シンガポール国外と行うリモートワークは合法」というものです。
リモートワークの調査結果をまとめました。
結論から言うと、「シンガポールに住んで、海外とのリモートワークは可能」とのDPへの就労許可特例もありますが、「国外企業の雇用主が必要」です。雇用契約国で社会保障費・年金等の支払いも発生するため、特例を利用できる日本人はまずいないでしょう。(2021年3月21日追記: パンデミックでのリモートワーク活用で、日本雇用を継続しながら、海外就労を認める雇用を少数ですが聞くようになっています)
業務委託契約のフリーランス/個人事業主/自営では、就労許可(EP/PR)が必要です。

※注意:本記事では就労ビザの扱いを中心とします。税は記述の範囲としません。税については、下記リンクの提示にとどめます。

MOMへの問合せと回答

日本人コミュニティ内で広まっているのは、
「MOM(シンガポール労働省)サイトには書いていないが、個人的にMOMに問合せた所、シンガポール人の労働を奪うものでないから、リモートワークは行って良いとの回答を得た」
というものです。これが本当なら、従来は永住権保持者PRであるか、シンガポールに法人を設立して就労ビザ(EP/S Pass)か、DP(扶養ビザ)ならLOC取得がリモートワークには必要と考えられていたのと比べると、劇的な緩和です。
「公開されていない」「個別に問合せると特例をコソッと教えてもらえる」というのがミソです。書かれていないことは証明できないために、不正確な内容が広まっています。
MOMに私が問い合わせをしました。MOMへの問合せは、下記から誰でも行えます。

MOMからの回答を訳します。

EPとS Passホルダーはシンガポール登記企業からジョブオファーが必要で、各就労ビザの基準を満たす必要があります。一般的に、EPとS Passをスポンサーする雇用主のためにのみ、働くことが許されており、収入を増やす追加での仕事は許可されていません。
一方、DPは、EPとS Pass保持者の家族が、シンガポールに同行することができるようにするものです。
DP保持者は、下記条件を全て満たせば、就労ビザ(work pass)なしにリモートワークをすることができます。

  • DP保持者は海外企業に勤務し、自宅から働くこと。かつ、
  • 海外企業はシンガポールに(現地法人などの)存在がないこと。かつ、
  • DP保持者は、シンガポールで顧客に会ってはいけないし、サービスを提供してもいけない。

MOMが提示した3条件の英語原文やさらなる問合せには、上記MOM窓口に直接問い合わせ下さい。

シンガポールで外国人が合法にリモートワークを行うDP特例3条件

EPとS Passは、副業ができません。シンガポールでの就労には、EP/S Pass/LOCなどの就労許可が勤務先ごとに必要ですが、同一人物に複数の就労許可は原則として現在は発行されていません(例外: EP所持者の関連会社でのディレクター)。ですので、EPとS Pass所持者は、就労ビザ申請時に認められた勤務先とは別に、リモートワークの副業はできません。就労許可無しにリモートワークを行えるのは、DPのみの"特例"です。

MOM回答を補足します。
リモートワークとは、「シンガポール以外の外国企業と雇用関係があり、シンガポールで業務を行うが、外国にたいしてサービス提供されるもの」ということになります。
(1) DP所持者は海外企業に勤務し、自宅から働くこと。
MOM原文では working for an overseas company であり、フリーランスや個人事業主や自営ではできませんwork forは雇用関係 (employment) を意味する言葉であり、「Xのために働く」は不正確です。在日本企業との雇用契約では、労働時間次第で各種社会保険(健康保険・年金など)を受けることになります。
なお、この「リモートワーク特例でフリーランスはできないのか」と何人もがMOMに問い合わせていますが、「できる」という回答をもらった人はいません。
また、オフィスを借りられず、知人宅・カフェなどのシンガポール内の出先で仕事ができません。自宅をオフィスとして使うことになるので、URAへの登録が必須です。

(2) 海外企業はシンガポールに(現地法人などの)存在がないこと。
リモートワークであっても、シンガポールに登記されている法人がある企業への勤務は、できません。該当シンガポール法人に正規に雇用されて就労許可をとるように、という意味です。例えば、シンガポールに現地法人があるパナソニックには、日本法人へのリモートワークであってもDP特例は適応できません。シンガポールのパナソニック現地法人から就労ビザを得て、日本法人業務をすることになります。
(3) DP所持者は、シンガポールで顧客に会ってはいけないし、サービスを提供してもいけない。
"製品"の提供はリモートワークでは不可能なので、"サービス"とのみ書かれています。自宅でしか仕事ができないのだから、国内で人に会えませんし、たとえ職場として登録した自宅への訪問を受けても業務で人に会えません。対面だけでなく、電話・スカイプなどビデオ通話も含め、シンガポール在住顧客や見込み顧客、およびシンガポール旅行中の顧客および見込み顧客と会うのは避けましょう。在シンガポールの法人・団体・個人にサービスを提供するなら、それはもはやリモートワークではない、という意味です。

具体的に可能なリモートワークには、

  • IT開発
  • マーケティング
  • デザイナー

などが想定されます。たとえば、夫がシンガポールに駐在し、妻がDPで帯同する。妻はウェブデザイナーとして日本での雇用を継続し、シンガポールから日本に対して就労ビザなしでサービス提供することが許されるということになります。
つまり、フリーランスや個人事業主や自営にDP特例適応が認められておらず、雇用契約が必要になるため、実際に利用可能な人は少数、ということです。現実的に、海外在住者にリモートワークでの雇用を認める勤務先を探すのは大変ですが、以前からの勤務先が認める例を聞いています。
ランサーズ、クラウドワークス、oDeskなどで見つけたリモートワークは、まずDP特例3条件を満たしません。業務委託契約であり、雇用契約が無いからです。

違法就労は止めましょう

リモートワークでの違法就労例

今回、調査して、この記事を書いた2つの理由は、「リモートワークは合法」と主張する人が出てきたことと、「リモートワークは合法と主張した上で、MOMが認めている範囲を超えて、違法就労をしている人がいること」です。下記はDPリモートワークでの違法就労例です。

  • 有償オンラインサロンや、広告収入があるブログなどのネット運営は、できません。 (雇用関係が必要)
  • 雇用契約がないウェブメディア・雑誌への記事提供はできません。(例:PVに比例した報酬を受け取る「Yahoo!ニュース 個人」、原稿料を支払う東洋経済オンラインなど)
  • シンガポールに現地法人がある日経への記事提供はできません。(現地法人から就労ビザの取得が必要)
  • シンガポールのセミナーにパネリスト等として参加することはできません。 (顧客対面の禁止)
  • DPでないEPやS Passが、ビザ取得勤務先以外の業務をリモートワークで行うことはできません。(副業禁止)

「リモートワークの可否をMOMに問合せた所、問題ないと言われた」と主張している人であれば、私と同じ3条件の回答を得ているはずです。それにもかかわらず、違法就労を行っているのであれば、MOMから得たDP特例3条件を誤解しているか、MOM見解が非公開であるために強弁しているかの、どちらかでしょう。

DP特例3条件を丹念に読む

DP特例3条件を読むと「こうすれば合法リモートワークとしてできるのではないか」と気づくことがあります。例えば、

  • 顧客をシンガポール国外居住者に限定すれば、有償オンラインサロンや有償購読サイト運営は可能では?

などです。
上記をMOMに追加で問い合わせました。結論は「(リモートワークではなく)個人事業主にあたり、不可。就労許可をとれ」というものでした。これは、DP特例3条件の(1)での「リモートワークには海外雇用主が必要(フリーランスは不可)」という内容にも合致します。MOMからの回答を訳します。

ビジネスオーナーとして自営を希望するDP所持者にとって、申請すべき正規の就労パスはアントレパスです。アントレパスは、シンガポールでビジネスを運営することを希望する外国人のためにデザインされています。
ビジネスの登記の前に、DP所持者はアントレパスを申請することをアドバイスします。ビジネスの登記ができても、アントレパスの付与を保証するものではないからだ。
アントレパスの情報には、下記リンクを参照して下さい。 http://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/entrepass

MOMに新規企業設立でのビザを問い合わせると、EPではなくアントレパス取得を回答されることがあります。「政府認定ベンチャーキャピタルから投資を受けていること」などアントレパスのほうが、大半の人にはEPより条件が厳しいです。現在、アントレパスで滞在している日本人を私は知りません。いずれにせよ、EPやLOC取得ができないのが理由で、DP特例利用を検討している人の選択肢にはならないです。
以上から、趣味の範囲を超えて、アフィリエイト報酬や顧客からの食事・試供品など物品・サービス提供があり就労とみなされるブロガーも、リモートワークではなく個人事業主のため、DP特例3条件ではできません

他の合法化には、誰もが思いつくであろう、フリーランスの業務委託契約ではなく、「実際は案件単位でも、契約社員としてこまめに有期契約を繰り返す」ことで雇用契約に見せかけることは、止めましょう。たとえこういうリスク有る雇用契約を受け入れる企業があったとしても、契約社員との主張に必要な勤怠管理の証明が困難だからです。勤怠管理を整えてまで契約社員と主張するのであれば、MOMとの紛争を覚悟して下さい。
また、日本などで自分・家族・親族・知人名義で法人を設立して、そことの雇用関係を主張するのも、実態がフリーランスなので、MOMとの紛争を覚悟して下さい。MOMが「面倒だからこの件から手を引こう」と思うか「悪質だから再発防止のために一罰百戒で取り上げてプレスリリースを出そう」と思うかは、分かりません。シンガポールの就労許可で、最終判断はMOMです

シンガポールでは報酬なしでも労働にあたる

シンガポールでは、報酬がなくても、趣味・ボランティアではなく、労働と判断される行為があります。代表例は、インターンシップです。シンガポールではインターンシップを含む無償労働にも、外国人は就労ビザ取得が必要です。就労でなく趣味とみなされるためには、報酬が無いことが最低限必要になります。
報酬があれば労働と判断されます。報酬には、金銭以外でも、食事・物品(試供品)提供・サービス(タダ券・割引券・旅行・移動手段)供与が含まれます。
詳細は下記を参照下さい。
uniunichan.hatenablog.com

非公開のDP特例3条件

最後に、念の為ですが付記します。
リモートワークのDP特例3条件はMOMサイトに提示されていません。利用可能者があまりに少ないとしても、情報公開が徹底しているシンガポールでは異例です。
非開示ということは、MOMが予告なく改変・撤廃する可能性があるということです。
リモートワークを検討しているDP保持者は、開始前と、開始後も定期的にMOMにご自身で確認して下さい。


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